空(から)というものを見つめ続けた記録、赤子を運んで来るという伝承で有名なコウノトリの巣をテーマにした作品集、アバロス村野敦子の「Empty Nests」

 POSTにて、写真作家・アバロス村野敦子による書籍の出版を記念した、「Empty Nests Exhibition」が開催中だ。会期は、2021年11月11日(木)〜2021年11月28日(日)。
 アバロス村野敦子は、モチーフとなる被写体、場所、史実等と自身との出会いを起点に、点と点を結ぶようにコンセプトを構築し、作品を制作する写真家だ。


©︎Atsuko Murano Abalos


 本書は赤子を運んで来るという伝承で有名なコウノトリの巣がテーマとなっている。子供を授かることのなかったアバロス夫妻はコウノトリ伝承で有名なアルザス地方を訪れた際、直接鳥たちに文句を言ってみようと話していたそうだ。しかし彼女たちがアルザス地方に到着したのは冬に差し掛かる前。渡り鳥であるコウノトリはすでに海を越え、暖かいアフリカ大陸にいる頃だったという。


©︎Atsuko Murano Abalos


 空っぽの巣の写真がタイポロジー的に編集された今作は、空(から)というものを見つめ続けた記録である。空(から)は無と同義ではなく、他の可能性を持つ余地なのではないか、ということを問いかけてくるような作品集となっている。


 展覧会では写真作品の展示販売、そして作品集の販売が行われる。また、トークイベントやワークショップの開催も予定されているので、ぜひオフィシャルサイトにてチェックして欲しい。



アバロス村野敦子「Empty Nests Exhibition」
会場 | POST
住所 | 〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期 | 2021年11月11日(木)~2021年11月28日(日)
時間 | 11:00-19:00
定休日 | 毎週月曜日

書籍「Empty Nests」
販売価格 | 4,400円(税込)
アーティスト | アバロス村野敦子
サイズ | B4変形
ページ数 | 52ページ
表紙 | 布張り・箔押し
製本 | 角背上製本PUR無線綴じ
本文 | 2つ折り、袋とじ
写真 | アバロス村野敦子
表紙イラスト | 大神慶子
デザイン | 伊野耕一
テキスト | 中村拓志(建築家・NAP建築設計事務所)
出版社 | LibroArte, Inc.

アバロス村野敦子
兵庫県宝塚市出身。聖心女子大学文学部卒業後、商社勤務を経て渡米。留学先であるアート・インスティチュート・オブ・シアトル(AIS)ではコマーシャル・フォトグラフィを専攻し、同校卒業後はシアトルの白黒写真専門ラボでプリンターとして経験を重ねる。帰国したのちは日本国内で商業写真撮影、海外の雑誌取材を中心とした活動を展開し、その後本拠地をシンガポールに移す。2013年以降は活動の場を東京に戻し、現在は写真作家として表現の幅を広げる。

作家活動
アバロス村野敦子の芸術的実践は、「人々が人生で出くわすさまざまな出来事」に着目することからはじまる。 かつて自らが経験してきたこと、現在我が身に起こっていること、世界で起こっていること…。主に本人が実際に体験したり見聞した出来事を基礎として、ドキュメンタリー的手法を用いながらまるで物語を紡ぐようにオリジナルの作品世界をつくりあげる。コンセプトをかたどるシークエンスは、作家のみならず、 鑑賞者をも含む各人の体験にあまねく通底する共通項、すなわち相似性を暗に示す。