Alexandra Mocanu 初のアーティスト・イン・レジデンス、独自の視点で切り取られた美しい作品群

 M1997 にて、日本初となる Alexandra Mocanu の個展および、M1997 のオープニングレセプション(*招待制)が開催される。2020年から猛威を奮い続けているコロナウィルスの影響で、本来であれば同年4月に開催を予定されていた本展だが、延期され、1年越しの開催となる。会期は、2021年4月25日(日)~6月20日(日)。
 本展は、フランス・パリを拠点にする Alexandra Mocanu にとって初めてのアーティスト・イン・レジデンスとなる。M1997 でのレジデンスがスタートした頃にフランスはロックダウンとなり、程なくして日本でも緊急事態宣言が発令された。一度は帰国を考えたそうだが、フライトのキャンセルが相次ぎそれも叶わず、文字通り’異様’ な状況の中での滞在となった。
 海と山しかない的形でもやはり彼女の観察力は特別だと言えるだろう。普段私たちが目にしている光景を彼女は独自の視点で切り取り、何かものすごく美しく面白いものに変えていく力がある。
 また、今回は彼女の代名詞でもあるテキスタイルにも注目したい。普段はデッサンを元に機織りで制作しているが、今回は全て彼女の手で刺繍されたものだ。的形で彼女の目に映った光や色にインスピレーションを受け、何百色もの糸を使用し見事なグラデーションが作り上げられている。本来であれば裏は見せないものだが、作品の裏面を見ればさらに綿密な仕事ぶりや彼女の感情が見て取れるだろう。
 これまでの彼女の写真は、パリや東京といった都心を舞台に、アーキテクチュアルな作品を撮るスタイルだった。そのため、ローカルエリアでの撮影は彼女にとって挑戦だったと言えるだろう。その中でも彼女らしさは失わず、彼女独自の視点を持って切り取られた作品が展示される予定だ。ぜひ足を運んでいただき、その美しさを堪能して欲しい。




Alexandra Mocanu | Solo exhibition
会期 | 2021年4月25日(日)~6月20日(日)
会場 | M1997
住所 | 〒671-0111 兵庫県姫路市的形町的形 1997
https://m1997.jp
Alexandra Mocanu | アレクサンドラ・モカニュ
ルーマニア、ブカレスト生まれ。アーティスト一家の元に育ち、当たり前のように彼女も工芸や芸術に興味を持つようになる。彼女は自己表現のメディアムに境界はなく、写真やテキスタイル、陶芸、ドローイング等、様々な手法を用いる。
2018年のPAD Paris (Paris Art & Design) に出品したテキスタイルで、コンテンポラリーデザイン賞を受賞。ニューヨークのギャラリーを中心に、顧客はインテリアデザイナーやフランスの著名人等、多岐にわたる。
2019年11月にはニューヨークの TWENTY FIRST GALLERY にて個展を開催。表現の幅はテキスタイルや写真に留まらず、2018 年、パリ11区に自らセラミックのショップ 《Studio San Paris 》をオープンし、さらなる可能性を探っている。彼女にとって写真は自らを表現するひとつの手段にすぎない。
フランス国内では HENNESSY, BVLGARI, CHANEL, JIMMY CHOO, GIORGIO ARMANI , LACOSTE , MISSONI 等、老舗 ブランドの商材写真を手掛けている。
M1997
年数回のアーティスト・イン・レジデンス ( 以下 AIR) への取り組みを主軸に、並行して国内外アーティストや作家の展覧会を企画、その他の期間はアートピースやプロダクトを販売するショップとして機能する。
瀬戸内を臨む的形の地で2020年1月からアーティストの滞在・制作をスタート、グランドオープンは、2020年4月を予定していたが、新型コロナウィルス の影響を受け、延期を余儀なくされた。
Alexandra Mocanu の AIR にて製作した作品の展示を皮切りに 2021年4月25日(日)にオープン予定。
的形 1997 地区のこれまで使用されていなかったスペースを改装し、新たにレジデンススペースとして生まれ変わった。
M1997 での経験がアーティスト自身にも刺激を与え、継続的に活動することで、日本における新しい文化 発信の場となることを目指している。