写真家としてだけでは括ることはできない、花代の30年に渡る活動を総括する写真集「Keep an Eye Shut」

 アーティスト花代のデビューから30年に渡る活動を総括する写真集『Keep an Eye Shut』が刊行され、それに伴い、POST、アニエスベー ギャラリー ブティック、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムの三箇所で個展が開催されている。



©︎ Hanayo 2004


 花代は、中学校で写真部に入部し、父親から譲り受けた古いカメラで、1989年頃から自分の身の回りの事象や出会った人たちを写真に収めるようになった。高校生の時に友人と同人誌「女子高生通信」をスタートし、『宝島』のトンガリキッズなどで世にデビュー。19歳で半玉になり、その後、日本のテレビ番組や舞台などの出演や、イギリスの雑誌『The Face』のカバーを飾ったりと、一躍時代のアイコンとなっていった。
 その傍らも写真を撮り続け、ロンドンへ渡った1996年に『ハナヨメ』で写真家としてデビュー。ヴィヴィッドで瑞々しいイメージで注目を集めた。同じ年に生まれた愛娘・点子を以降は被写体として撮り続けることになる。その後、奇才監督クリストフ・シュリンゲンズィーフと出会い、その舞台やパフォーマンスに出演するようになった1999年にベルリンへ移住。2010年の帰国後は新たな試みとしてモノクロ写真に取り組み、現在は東京を拠点に精力的に写真を発表しつづけている。



©︎ Hanayo 2002


 膨大な写真から選ばれたこれらの写真群は、彼女の人生そのものであり、時代を映す鏡のように私たちにこの世界の美しさ、あるいは儚さを提示する。POSTでは東京に戻ってからの後期、アニエスベー ギャラリー ブティックではベルリン時代を中心とした中期、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムではカメラ撮り始めた頃から『ハナヨメ』までの初期作品を中心に展示が行われる。

 合わせて、その活動の30周年を記念し、都内各所、またベルギー・アントワープで「花代まつり」が開催中。秋まで続くこの「花代まつり」は、花代のこれまでのアーティスト活動を知る、貴重な機会になるはずだ。ぜひ、足を運んでいただき、写真家としてだけでは括ることはできない、多彩な表現を奏でる花代の世界を体感してほしい。



花代(Hanayo)
東京とベルリンを拠点に活躍するアーティスト。写真家、芸妓、ミュージシャン、モデルなど多彩な顔を持つ。自身の日常を幻想的な色彩で切り取る写真やコラージュ、またこうした要素に音楽や立体表現を加えたインスタレーションを発表する。パレ・ド・トーキョーなどでの個展、展覧会多数。写真作品集に『ハナヨメ』(1996)、『MAGMA』(2004)、『ベルリン』(2013)、『点子』(2016)、音楽アルバムに『Gift / 献上』『wooden veil』などがある。
Keep an Eye Shut Ⅲ
日時 | 7月24日[土]~8月15日[日] 11:00~19:00
定休日 | 月曜日
会場 | POST
住所 | 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
Tel | 03-3713-8670
post-books.info/news/2021/7/24/exhibition/hanayo-keep-an-eye-shut
Keep an Eye Shut Ⅱ
日時 | 7月28日[水]~9月8日[水]11:00~20:00
定休日 | なし
会場 | アニエスベー ギャラリー ブティック
住所 | 東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F
Tel | 03-3406-6010
www.agnesb.co.jp/brand/agnesb-galerie-boutique/
hanayo IV – Keep an Eye Shut I
日時 | 8月6日[金]~9月11日[土] 12:00~18:00
定休日 | 日曜日 月曜日 祝日
夏季休廊 | 8月8日[日]~8月16日[月]
会場 | タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
住所 | 東京都港区六本木5-7-1 AXISビル2F
Tel | 03-5575-5004
www.takaishiigallery.com/jp/archives/25455/
書籍情報
花代『Keep an Eye Shut』

定価 | 5800円+税
304頁/230 x 160 mm/ハードカバー
テキスト | カイ・アルトホフ、伊藤貴弘(東京都写真美術館)
ISBN978-4-907562-29-8 C0072
www.torchpress.net/product/3237/