窓の両義性にフォーカスする2つの大型絵画、渡邉 太地による「in and out」

 CAGE GALLERY にて、渡邉 太地による展示「in and out」が開催される。会期は、2022年4月28日(木)~7月18日(月)。
 渡邉は、1997年東京都生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科油画第一研究室在籍の作家。これまでに「窓」というモチーフを発展的に展開させる絵画作品を制作してきた。今年、INHERIT GALLERY で開催された「Where I want.」では、ここではない別の空間を壁面上につくり上げる、「可動型の窓」の新作を多数発表している。
 渡邉の「窓」作品の特徴は、そのプロセスにある。キャンバスは木枠に固定されないまま描かれ、最終的な工程として枠付けされる。木枠の側面に巻き込まれていく窓のフレームと景色の絵具は文字通り境界線として固定化されるが、作家はそれを「可動」の重要なプロセスとして位置づける。渡邉の作品において、「描くこと」と「持ち運ぶこと」はひとつの画面を媒介にシームレスな行為となり、「窓を創る」行為の残滓が私たちの目の前に置かれることになる。
 本展「in and out」において制作された新作2点の絵画もまた、これまでと同様の試みによって制作された。渡邉は、CAGE GALLERY の展示環境を「展示空間→窓→屋外と屋内の関係性」として読み解くことにより、内(in)と外(out)の両義性にフォーカスしている。対立性をはらんだ窓の絵画は、CAGE GALLERY に展示されることでその意味をラディカルに顕在させるはずだ。また、抽象と具象の間を行き来しながら制作されていることもまた、複数の両犠牲を後押しする。
 ぜひ足を運んでいただきたい。



渡邉 太地「in and out」
会期 | 2022年4月28日(木) – 7月18日(月)
点灯時間 | 11:00 – 20:00
会場 | CAGE GALLERY
住所 | 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿2-16-8 1F
ハンドアウト:ギャラリー向かいのHender Scheme「スキマ」内

渡邉 太地 Taichi Watanabe
1997年、東京生まれ
東京藝術大学大学院美術研究科油画第一研究室在籍
シルクスクリーンを用いた版画作品や油画作品を制作。21年7月に版画作品の個展「Footprints」をBEAMS T原宿にて開催。現在は「可動型の窓」を、テーマとした油画作品を中心に制作。実際の窓と同じように壁面上に空間を創り出す絵画表現を追求。22年1月には、油画作品初となる個展「Where I want.」をINHERIT GALLERY にて開催した。
www.taichiwatanabe.com