出会いから29年、師弟を超えた関係にフォーカスし、写真で対話する展覧会『藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ』

 MA2 Gallery にて、写真家 藤井保、瀧本幹也のはじめてのふたり展 『藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ』が開催される。ふたりの出会いから29年、師弟を超えた関係にフォーカスし、写真で対話する展覧会だ。会期は、2021年10月30日(土) ‒ 11月28日(日)。
 展示内容の方向性を探るべく藤井保と瀧本幹也は、2019年6月から、写真を主としたメールでの往復書簡をはじめた。日常で感じた些細な事、仕事の事、写真への考え方などを互いに伝え合い、気軽に撮った iPhone や iPad の写真、未発表の過去作品などでやり取りが続けられたという。
 はじめた頃には、想像もつかなかった世界中を脅かす新型コロナウイルスの流行で余儀なくされた生活変化、そして藤井保の島根移住の決意、コロナ感染拡大の中で行われた東京オリンピック、予期せぬことばかりの2年半。この長期の往復書簡は、写真が二人にとって何なのかを問いかけた時期でもあった。互いの言葉と写真のやり取りの中で、本展において何を伝えるべきか、何度も話し合い、ふたりの関係でしかできない『藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ』展が作り上げられた。




 本展は、ふたりが出会うきっかけとなった藤井保の「その先の日本へ。」(1992) からはじまり、世界中を周り撮影してきたふたりだからこそ、このコロナ禍で人間がどう進歩しようともあらがえない大自然を1階で展示する。ゆっくり2 階に上がると、藤井・瀧本の今だから伝えたいメッセージ写真が繰り広げられる。そして 3、4 階は、この展覧会のためだけに、ふたりが選んだポラロイドをひとつのフレームの中に組み合せた作品と、往復書簡のやり取りから生まれた組み写真で構成される。
 ぜひ、二人がじっくりと2年半かけて作り上げた展覧会を堪能してほしい。


(TOP画像 | 左 藤井保 撮影 : 瀧本幹也, 右 瀧本幹也 撮影 : 藤井保)



藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ
会期 | 2021年10月30日(土) ‒ 11月28日(日)
水曜-日曜 開廊 (火曜はアポイント制)
開廊時間 | 13:00-19:00
住所 | 渋谷区恵比寿 3-3-8
tel | 03-3444-1133
www.ma2gallery.com


書籍『藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ』
一般発売 | 11月8日頃
ブックデザイン | 葛西薫
グラフィック社刊 / A5 変形 / 144 ページ / 本体価格 2,300 円 + 税


藤井 保
1949年、島根県大田市生まれ。写真家。大阪宣伝研究所を経て、76 年に藤井保写真事務所を設立。2021年に東京から、石見銀山のある島根県大田市大森町へ拠点を移す。主な展覧会:「南方熊楠」(田辺、和歌山 /1990)、「月下海地空」 (semina rerum チューリッヒ /1998)、「藤井保展・旅する写真」(銀座リクルートギャラリー G8& ガーディアンガーデン /2003)、「カムイミンタラ / 神々の遊ぶ庭」(MA2 Gallery/2006)、「THE OUTLINE – 見えていないデザイン – 深澤直人、藤井保」(21_21 デザインサイト /2009)、「BIRD SONG」(MA2 Gallery/2009)、 「Naoto Fukasawa × Tamotsu Fujii “Medium”」(シュシュインスティトゥート、台湾 /2013)、「TWO FOGGY ISLAND」(MA2 Gallery/2015)。写真集に「ESUMI」(リトルモア)「ニライカナイ」(リトルモア)、「A KA RI」(リトルモア)、「カムイミンタラ」(リトルモア)、深澤直人氏との共著「THE OUT LINE 見えていないデザイン」(ハースト婦人画報社)など。
瀧本幹也
1974年、愛知県名古屋市生まれ。写真家。94年より藤井保に師事、98年に瀧本幹也写真事務所を設立。独立後も、06 年より銀塩写真の表現を繋げていく GELATIN SILVER SESSION の活動を共にする。代表作に 『BAUHAUS DESSAU ∴ MIKIYA TAKIMOTO』(2005) 、『SIGHTSEEING』(2007)、『LOUIS VUITTON FOREST』 (2011)『LAND SPACE』(2013)、『GRAIN OF LIGHT』(2014)、『海街diary』(2015)『Le Corbusier』(2017)、 『CROSSOVER』(2018)など。近年の個展では『CHAOS』(Galerie Clémentine de la Féronnière パリ 2018)、 『CROSSOVER』(LAFORET MUSEUM 東京 2018)、『CHAOS 2020』(妙満寺 京都 2020)、また『建築 x 写真 ここのみに在る光』(東京都写真美術館 2018)、『隈研吾展』(東京国立近代美術館 2021)に参加。映画撮影も手がけ、是枝裕和監督『そして父になる』(2013)で、カンヌ国際映画祭コンペ部門審査員賞、『海街diary』(2015)で日本アカデミー最優秀撮影賞を、『三度目の殺人』(2017)ではヴェネツィア国際映画祭コンペ部門などを受賞。