月島のセレクトショップ「S」が、匿名の“手紙の図書館”を開設

 月島のセレクトショップ「S」にて、匿名の”手紙の図書館”を作ることを目標とした『S Letter Project』がスタートし、それに伴い匿名の手紙を募集している。
 『S Letter Project』は、今秋に開催が予定されている、作家 佐々木新による小説個展『漂流』に呼応したプロジェクトで、個展終了後も継続して募集・常設される匿名の”手紙の図書館”。これは個展にあわせて発表される短編小説『漂流』の中に現われる、孤島に残された主人公が孤独に苛まれる日々の中で、島に流れ着く無数の手紙に返信をし続ける物語との並行世界にあたるもので、私たちが生きる現実世界で、言葉には吐き出されたことのないメッセージを手紙という形態として集める試みだ。
 このプロジェクトに伴い、匿名での手紙が募集されている。内容、手紙の長さに制限はなく、家族や友人、恋人、恩師、かつて大切だった人、あるいは過去の自分自身と宛てる相手も問わない。伝えたいと思っていたのに何らかの事情があり、面と向かって言えなかったり、すでに心も身体も遠くに離れてしまいコミュニケーションを図ることが難しかったり、さまざな理由があって伝えられない感情や物語が募集されている。
 「S」では、このようなアノニマスの想いを集めた匿名の”手紙の図書館”が設置され、誰もがこの手紙を読めるように一般公開される。匿名で書かれている手紙なので、誰が書いているのか、誰に宛てているのかわからないが、そこにはあなた自身やあなたの隣人に重なる部分が見えてくるだろう。言い換えれば、これは、手紙を通じて、他者の中に自らを発見すること、あるいは、自身の中にあるものを他者が発見するということかもしれない。
 尚、『S Letter Project』 スタートに伴い、漂流する『私』(短編小説内の登場人物にあたる私)のインスタアカウント (@s__letter) が作られている。こちらでは定期的に参考となる手紙が書かれていくとともに、実際届いた手紙への返信が為されていく。物語というフィクションから生まれたものが、実際届いたノンフィクションの手紙に呼応し、その内容によってインスタアカウントの『私』の物語が変化をしていくことで、リアルとヴァーチャルの垣根が曖昧になっていく仕掛けになっている。人格を持ったフィクショナルな『私』の自我が最終的にどのように変容していくか楽しみだ。

 
 

手紙の郵送先
S
〒104-0052 東京都中央区月島3-16-10

S Letter Project
Instagram https://instagram.com/s__letter
HP www.ssss.tokyo/