BOOK REVIEW / Arabesque
(c) Gestalten, Berlin 2008
Official H.P:www.gestalten.com (Gestalten)
Official H.P:www.gestalten.jp (Gestalten Japan)
Official H.P:www.gestalten.tv (Gestalten TV)
text by subaru matsukura
遠い中東の地では、これほどまで甘美で優雅な感性の風が吹いていたのか。
知らずのうちに意識下で淘汰していた異国の文化が、デザインというフィルター越しに七色に輝きだす。

(c) Gestalten, Berlin 2008
欧米の流れとも異なり、アジアの流れとも異なる、感性の激流がここに凝縮されている。
様々な世界情勢を背景に中東の文化レベルの高さを見落としがちだ。
いや、これまで我々のまなざしは、そこへは向かっていなかったのではないだろうか。
様々な世界情勢や偏見などが大きな壁となり、立ちはばかる。そして私たちは見つめることを"忘れる"。"あきらめる"。


(c) Gestalten, Berlin 2008
今回、ドイツのゲシュタルテン[www.gestalten.com, www.gestalten.jp] からリリースされた「Arabesque」に収録されている作品は、中東という遠い異国の地が育んできた感性の集大成であり、日本人の感性に対する一種の警鐘にもなるのではないだろうか。
私たちは自国の文化を見つめ直すことをあまりしない。
日本語が持つ本来の意味や歴史を知らない。
その文字がどのようにして現状の形状に至ったかを
私自身、今の一度も考えたことがなかった。
そんなデザイナーも少なからず共感はしてくれる方もいるのではないだろうか。
まずデザインを始めるといった段階で自国の言語を見つめ直す以前に参考になりそうな”海外のデザイン事例が凝縮された”一冊を開くのではないだろうか。
そこに本当の意味での"その人らしさ(個性)"は存在しただろうか。

(c) Gestalten, Berlin 2008
中東独特の有機的でいてシンボリックに構成されるタイポグラフィーは、様々なデザインフォーマットに自然と混ざり合い、「文字」本来の意味に超え、優雅なまでの「美しさ」と「存在感」をまとい平面上を舞っているようだ。
それは我流の文化的系譜が流線的に交わり、ついには美しい形状のDNAを構築した、そのように感じてならない。
まるで野に放たれた動物のような、その独特のタイポグラフィは、紙面やブラウザ上、はたまはストリートの壁面からホテルのスカルプチャーまであらゆるキャンパスの上を甘美に舞い、観る者を魅了する。
そのデザイン構築の応用方法は、自国の文化に愛情にも似た敬意を払っているようにも感じ、文字そのものの意味や存在を何倍にも輝かせる。
これが本来の「デザイン」という作業なのではないだろうか。「文字」という存在の内側から輝かせようとする根本的な視点や理念と、未開の森を切り開くような「表現」への飽くなき探求と高ぶり。
デザイン先進国では自国の言語表現に欧米のデザイン構築を表層的にまとった表現が増えてはいないか。
自国の文化に目をやり、関心を持ち、知ろうとする。そこからスタートをきることのできたデザイナーは、それほど多くはないのではないだろうか。

(c) Gestalten, Berlin 2008
今回、ここまで(文化的な意味も込めた)タイポグラフィーが、フォトグラフやアートワークと密接に結びついているケースを私は見たことがなかった。一見して美しい、注視して、うなる。
その美しい交わりは、すべて計算ずくでの完成系なようでいて、その表現の骨子となる「言葉たち」が、まるで自分たちから踊り暴れ、アートワークやフォトグラフ、そして空間と邂逅し、美しい形状を作り出しているように見える。
そのデザインとなるエレメントと作り手との見習うべく素晴らしい対話が、今、遠く中東の地で巻き起こっているのかもしれない。
見せかけの美しさではない。文字が持つ本来の意味をしっかり理解した上で組み直され、再構築される。瞬間風速の表現ではない、何年も生き続ける表現。

(c) Gestalten, Berlin 2008
今、我々の周りにある「デザイン」されたものを見つめ直す素晴らしいきっかけとなるであろう警鐘的一冊。
デザイナー、特にタイポグラフィや文字組を生業とされている方には、ぜひ一読願いたい必読の一冊ではないだろうか。
---
[Arabesque] Ben Wittner×Sascha Thoma interview
http://www.gestalten.com/motion/clipHiRes?id=46
[Arabesque] Special Site
http://www.arabesque-graphics.com
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(c) Gestalten, Berlin 2008 Official H.P:www.gestalten.com (Gestalten)
Official H.P:www.gestalten.jp (Gestalten Japan)
Official H.P:www.gestalten.tv (Gestalten TV)
text by subaru matsukura
遠い中東の地では、これほどまで甘美で優雅な感性の風が吹いていたのか。
知らずのうちに意識下で淘汰していた異国の文化が、デザインというフィルター越しに七色に輝きだす。

(c) Gestalten, Berlin 2008
欧米の流れとも異なり、アジアの流れとも異なる、感性の激流がここに凝縮されている。
様々な世界情勢を背景に中東の文化レベルの高さを見落としがちだ。
いや、これまで我々のまなざしは、そこへは向かっていなかったのではないだろうか。
様々な世界情勢や偏見などが大きな壁となり、立ちはばかる。そして私たちは見つめることを"忘れる"。"あきらめる"。


(c) Gestalten, Berlin 2008
今回、ドイツのゲシュタルテン[www.gestalten.com, www.gestalten.jp] からリリースされた「Arabesque」に収録されている作品は、中東という遠い異国の地が育んできた感性の集大成であり、日本人の感性に対する一種の警鐘にもなるのではないだろうか。
私たちは自国の文化を見つめ直すことをあまりしない。
日本語が持つ本来の意味や歴史を知らない。
その文字がどのようにして現状の形状に至ったかを
私自身、今の一度も考えたことがなかった。
そんなデザイナーも少なからず共感はしてくれる方もいるのではないだろうか。
まずデザインを始めるといった段階で自国の言語を見つめ直す以前に参考になりそうな”海外のデザイン事例が凝縮された”一冊を開くのではないだろうか。
そこに本当の意味での"その人らしさ(個性)"は存在しただろうか。

(c) Gestalten, Berlin 2008
中東独特の有機的でいてシンボリックに構成されるタイポグラフィーは、様々なデザインフォーマットに自然と混ざり合い、「文字」本来の意味に超え、優雅なまでの「美しさ」と「存在感」をまとい平面上を舞っているようだ。
それは我流の文化的系譜が流線的に交わり、ついには美しい形状のDNAを構築した、そのように感じてならない。
まるで野に放たれた動物のような、その独特のタイポグラフィは、紙面やブラウザ上、はたまはストリートの壁面からホテルのスカルプチャーまであらゆるキャンパスの上を甘美に舞い、観る者を魅了する。
そのデザイン構築の応用方法は、自国の文化に愛情にも似た敬意を払っているようにも感じ、文字そのものの意味や存在を何倍にも輝かせる。
これが本来の「デザイン」という作業なのではないだろうか。「文字」という存在の内側から輝かせようとする根本的な視点や理念と、未開の森を切り開くような「表現」への飽くなき探求と高ぶり。
デザイン先進国では自国の言語表現に欧米のデザイン構築を表層的にまとった表現が増えてはいないか。
自国の文化に目をやり、関心を持ち、知ろうとする。そこからスタートをきることのできたデザイナーは、それほど多くはないのではないだろうか。

(c) Gestalten, Berlin 2008
今回、ここまで(文化的な意味も込めた)タイポグラフィーが、フォトグラフやアートワークと密接に結びついているケースを私は見たことがなかった。一見して美しい、注視して、うなる。
その美しい交わりは、すべて計算ずくでの完成系なようでいて、その表現の骨子となる「言葉たち」が、まるで自分たちから踊り暴れ、アートワークやフォトグラフ、そして空間と邂逅し、美しい形状を作り出しているように見える。
そのデザインとなるエレメントと作り手との見習うべく素晴らしい対話が、今、遠く中東の地で巻き起こっているのかもしれない。
見せかけの美しさではない。文字が持つ本来の意味をしっかり理解した上で組み直され、再構築される。瞬間風速の表現ではない、何年も生き続ける表現。

(c) Gestalten, Berlin 2008
今、我々の周りにある「デザイン」されたものを見つめ直す素晴らしいきっかけとなるであろう警鐘的一冊。
デザイナー、特にタイポグラフィや文字組を生業とされている方には、ぜひ一読願いたい必読の一冊ではないだろうか。
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[Arabesque] Ben Wittner×Sascha Thoma interview
http://www.gestalten.com/motion/clipHiRes?id=46
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