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「白いタイルのお店」特別な愛称で呼ばれる
横浜市馬車道に生まれたキャンディショップ「パパブブレ」



photo by Takumi Ota
text by Seika Ueda

今年1月、横浜市馬車道にキャンディショップ「papabubble(パパブブレ)」がオープンした。日本では中野店、渋谷店に次いで、3店舗目となる。横浜店の店舗デザインは渋谷店に引き続き、デザイナーの関祐介氏が手掛けた。

2004年にスペイン、バルセロナで誕生したパパブブレは、人々の想像力と記憶を呼び覚ますキャンディを理念としている。小さなロゴや果物をモチーフにした金太郎飴のようなキャンディや色鮮やかなロリポップなど、繊細さとオリジナリティ溢れる商品が特徴的だ。また、パパブブレではキャンディ製作のようすを間近で見学できるのも魅力のひとつ。甘い香りとともに熱せられたキャンディが形を成していく様子に、大人も子どもも胸が躍る。現在ではスペインや日本のほかに、オランダ、アメリカ、韓国、ベルギーなど、世界各国でパパブブレの名を聞くことができる。





海外で多数の店舗を持つパパブブレだが、関氏は店舗デザインをするにあたり、海外店舗の雰囲気を意識しないことを心がけていた。昨年、パパブブレの創始者に会う為にバルセロナへ渡った関氏。そこで創始者たちが、日本のインディーズブランドやアパレルに関する様々な知識を持ち、日常的にアンティークとモダンなデザインを組み合わせている様子を目の当たりにする。国や時間が持つ境界線の概念を持つ必要がないという考えに至ったことで、関氏はパパブブレというブランドコンセプトを保持しながらも、他店舗から異彩を放つ新しいデザインを取り入れた。





パパブブレ横浜店でまず目を引くのが、明るく照らされた白いタイルだ。関氏は、築40年になる建物の外壁と同じメーカー、品番のタイルを探し出し、店の内壁に使用した。「元々その土地が持っているポテンシャルを更にフックアップしてあげることで、それがお店の特徴になり得るし、この場所でしか成り立たないという強度を持ったコンセプトにも繋がる」。関氏の説明の通り、この建物以外では出来なかったであろう白いタイルと黒い枠で囲われた入り口によるコントラストが、店舗をより一層印象深いものにしている。





店内に入ると木目の美しい作業台が目に入る。そこでは色とりどりのキャンディが次々と作られ、買い手へと手渡されている。スタッフにストレスのかからない動線計画を施したという関氏。心地よい環境でキャンディを作るスタッフの笑顔は、キャンディとともに買い手へと伝播していく。パパブブレはキャンディを介在しながら自然なコミュニケーションが生まれる温かな空間なのだ。





店内には、ほかにもカラフルな液体が入ったガラス瓶や、ポップなショーケースが置かれている。横浜店のプロダクトデザインは、世界的に活躍するスペインのデザイナー、ハイメ・アジョン氏が担当。アジョン氏は実際にキャンディ製作を体験した上で、キャンディの溶けていく様子や質感からデザインを行った。関氏はアジョン氏に「なるべく自由な発想で線を引いてもらいたかった」こともあり、デザインの方向性はアジョン氏に任せていたという。ふたりのデザイナーによる多様な素材、線、色使いは、多彩な味を持つキャンディを想起させる。





関氏は空間設計を世界地図上に点を打つことであると説明する。例えば、高層ビルとキャンディショップでは明らかに規模が異なる。しかし、地図上に刻む新しい点という意味では、ふたつの空間が都市に与える影響は同義であると考えているという。また関氏は、新しい空間が人々に「あだ名」で呼ばれることをひとつの理想の形としている。あだ名は空間が人々に身体と言葉を通して理解され、特別な場所となったことを示すからだ。関氏は実際に、パパブブレ横浜店が「白いタイルのお店」と呼ばれているのを耳にした経験があるという。新しい点として打たれたこの店舗は人々に親密さをもって受け入れられたことで、空間としての完成系に達したのだろう。





長い時を経た建物、創始者の理念、ふたりのデザイナーによる発想など、様々なエッセンスが施された「白いタイルのお店」では、今日も新しいキャンディが作られている。




パパブブレ 横浜馬車道店

神奈川県横浜市中区相生町4-76-1 三ツ橋ビル1F
www.papabubble.jp

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