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REPORT / TRUCK

l_truck_01.jpgphoto by TRUCK


text by arata sasaki

大阪で出会った彼は、何処か垢抜けない、しかし人を魅了する何かを持っているようだった。
時に端然とした、時に浮ついたような青年期特異の行動のせいか、
決して華があるような種類ではないけれど、周辺に華を咲かせる器量を持った人間に僕には写った。

l_truck_03.jpgphoto by TRUCK



この日は、秋期の希有な台風の後に訪れた晴天だった。
他愛ない話に頬笑しながら、大阪の心央から外れた静謐な住宅街を歩く。
お目当てのお店は難なく見つかった。
森小路駅から歩みを進める事、数分、BIRDと呼ばれるカフェは、お目当てである家具メーカーTRUCKが運営する姉妹店だけあって向かいに仲良く並んでいた。
お店から匂い立つ空気は、夕食の支度をする軒下を通過した時のような優しく纏うような衣である。
その衣を纏って、少し大きめの予約用ナンバーカードを受け取る。
ここは、都会から夥しい数の人が訪れるのだ。

l_truck_04.jpgphoto by TRUCK



僕らは、空きっ腹を我慢して順番待ちの時間を、家具メーカーTRUCKの鑑賞へと充てることにした。
学校の一部をリノベーションしたというその建物は、奇を衒う事なく現代に時を留め、モノ造りへの気字を感じる。
建物の中には、柔らかく神々しい光が空気と家具に話しかけているようで、その会話を壊さないように来客は小声で、ヒソヒソとコミニケーションをする。
それは、秘密めいた心得のようで、何だかその仲間に入れてもらえるような高揚した気分となる。
地球に生を受けた生物が平等に何かを得る事は難物だが、太陽の暖かい光は少なくともこの部屋では平等に家具を照らし続けている。
TRUCKに置かれている家具は、その滋味豊かな光を受けて、植生のように群れを成し、まるで連れていかれる事を瞬間躊躇っているようにも見えた。
意地悪な僕たちは、その群れの中を丹念に相性探しをする。

l_truck_05.jpgphoto by TRUCK



TRUCKの家具は、老年の夫婦を中心とする大家族のようだ。
人が良い人生を歩んで年輪を刻んで来たとき、美しい皺が顔に刻まれる。
家具も同様に、傷、汚れが美しき勲章として至宝となる。
何もピカピカ磨く事だけが美の本質ではない。
良い皺は何にも増して、尊崇の念、心弛びを齎すのだから。

BIRDは程無くして、僕らに門戸を開いてくれた。
店内は、香ばしいドーナツの匂いと、働きものが発する馥郁とした香りが溶け合って、僕らのアペタイトを刺激する。
僕らはドーナツをほうばりながら、友人の将来の処し方について話す。
BIRDは仕事を営みながら、食べる貨幣を受け取っているが、いま私たちに進むべき道を提案し続けている。
だからこそ、この場所で気を許しながらも芳醇な会話が成り立ったのだろう。
僕らに栄養の糧を提供してくれるけれど、決してそれは RICEWORKではなく、LIFEWORKであったのだ。

l_truck_08.jpgphoto by BIRD



地球の重力がもしもっと強力であったら、星の寿命が短くなってしまう、もし重力がもっと弱かったら星は重原素を創れない。
モノや場所には、ここに存在している理由があり、それは非常に繊細で僅かな誤差で形態を変え、溢れる精神性をも変えてしまう。

TRUCKを後にして気が付いたのだけれど、冒頭で述べた友人と非常に近しいアナロジーを感じた。
この場所や造られた家具、そして食事は、華がある訳ではない。
しかし、宇宙、地球、生命、生活の営みを微調整する大事な役割を担っているような、そんな気がする。
しかも、人知れずこっそりと。
そんな僅かな力を感じる為に、僕はここにまた訪ずれるのだと念う。




TRUCK furniture
大阪府大阪市旭区新森6丁目8-48
http://www.truck-furniture.co.jp/

BIRD coffee
大阪府大阪市鶴見区緑4-1-16
http://www.bird-coffee.com/




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