My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
Text by Goshi Uhira
日本という国は元来、植物や自然の摂理を上手く生活の中へ取り入れ、時には愉しみながら暑い夏の時期を過ごしてきた。
自然を尊重しながら、テクノロジーの発展と共生する形で、独自のアイデンティティーを培ってきた島国、日本。
しかし、そんな日本の姿はいつからか影を潜め、気が付けば街中がコンクリートの分厚い壁と、排ガスの膜で覆われている…
「人間は自然を凌駕する存在」という驕りから「自然と人間の共生」へと思考の転換が唱われるようになって久しいが、実際はそれどころか、益々、負の方向へと後退りしているような気がしてならない。
こんな話を冒頭から記すことになったのは、数日前に、ある一冊の書籍を手にしたことからだ。
「My Green City – Back to Nature with Attitude and Style」
世界中のグリーンをテーマとした活動に焦点を当て、それらをオムニバスに収録した一冊。
タ イトルからも察せられるように、本書で謂う「Back to Nature(自然回帰)」とは、決して単純な自然への回帰(回顧的な)という意ではなく、各々が身に纏う、グリーンに対する「姿勢 (Attitude)」や「生活様式(Style)」を伴いながらの「進展的回帰」のことである。
事例として、実際に本書に掲載されているものの中からいくつかをご紹介したい。
「Vintage Plant – Byggstudio」
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
ヴィンテージ・プラントとは、人手を介した中古の植物とそれらの植物にまつわるエピソードから成るネットワークのことを指す。
2006年にコペンハーゲン出身のクリエイティブチーム、Byggstudioにより立ち上げられた。
視点を変えたユニークな発想で、行き場を失った中古の植物たちに、新たな永続的価値を与えることに成功した。
彼らは現在、活動の場をストックホルムへと移し、プロジェクトの更なる拡張に尽力している。
Vintage Plant: http://www.vintageplant.net/
Byggstudio: http://www.byggstudio.com/
「Ekokook – Faltazi」
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
フランスのクリエイティブスタジオ、Faltaziによって考案されたコンセプトキッチン「Ekokook(エコクック)」。
キッチンから排出されるゴミ類(液体、個体両方を含む)を可能な限り資源へと変換し、再利用するという構造だ。
この一台で彼らは、「ゴミ排出量の削減」/「調理環境の改善」/「資源の有効活用」を実践する場としてのよりエシカルなキッチンの理想像を呈示した。
Ekokook: http://www.ekokook.com/
Faltazi: http://www.faltazi.com/
「Fashion in Nature – Azuma Makoto」
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
2010年にパリにて開催された「Fashion in Nature」では、日本人フラワーアーティストの東信氏がアートディレクションを務めた。
彼のコンセプトに基づき、九人のファッションデザイナーが洋服を仕立て、異なる領域にある「植物」と「服」を融合させた前衛的な世界観を作り出した。
植物の生まれ持つ「鮮やかな色彩」や「神秘的な形状」を芸術へと昇華させる彼のボタニカルアートが、ファッションの領域でも高い評価を得たことは、容易に想像の付くところではないだろうか。
Azuma Makoto: http://www.azumamakoto.com/
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
本書には他にも『都市の緑化を目指し、公共の空き地や荒廃地に市民が自発的にガーデニングを施す「ゲリラガーデニング」』や、
『ビルの屋上やベランダの空きスペースを利用して野菜を育てる「アーバンファーミング」』など、
日本では未だ馴染みが浅く、聞き慣れない活動も多く取り上げられている。
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
My Green City © 2011 Gestalten, Berlin
都市におけるグリーンの持つ効果として「生活環境や景観の維持」、
「人々の心にゆとりや潤いを与える」などが挙げられるが、本書を読み進めていくと、きっとこれまでとは違う、グリーンの新たな一面に触れることができるだろう。
一人一人が、自らと自然の関係について再考し、各々のスタイルを纏うことが、自然を尊重しながらテクノロジーの発展と共生する――本来の美しい日本の姿――を取り戻すことに繋がるのではないだろうか。
多くの人にとって本書が、そのキッカケとなれば幸いだ。
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書名:My Green City – Back to Nature with Attitude and Style
編者:R. Klanten, S. Ehmann, K. Bolhöfer
発売:2011年2月(国内発売:2011年7月)
判型:21 x 26cm
仕様:240頁、オールカラー版、フレキシカバー
言語:英語
ISBN:978-3-89955-334-5
価格:$60ドル
出版:ゲシュタルテン (www.gestalten.com)
販売:全国大型書店
書籍のプレビュー:https://shop.gestalten.com/index.php/catalog/product/view/id/3992
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