外界と死後の世界へと展開する宇宙論のような絵画、ペロタン東京にて、ピーター・ヴェルメッシュによる個展が開催
ペロタン東京にて、ベルギー出身のアーティスト、ピーター・ヴェルメッシュによる個展が開催中だ。会期は、2018年7月11日(水)~ 9月12日(水)
ピーター・ヴェルメッシュは、光を印象的に捉えた、観る者の視線を世界の単純な解釈から逸らす画家だ。注意深くコントロールされた巡り合わせとして具体的に世界を描く中で、そのイメージを抽象化し、その落ち着きのなさと好奇心で予想外な未知の世界を見つけ出す、稀有な作家と言えるだろう。
ヴェルメッシュの過去の個展では、ギャラリー全体を色彩のグラデーションで装飾し(2008年:ブリュッセル・CCNOA)、別の空間をプロジェクションで満たし(2009年:ニューヨーク・White Box)、光にフィルターをかけてきた(2012年:ブリュッセル・Galerie Elisa Plateau & Cie)。光線を見つけ出すその瞬間を視覚的につかみ取ろうとするかの様に、どのギャラリーでも建物はイメージに包み込まれたものとして捉えられている。
今回ペロタン東京で開催される展覧会は、ヴェルメッシュの日本で初めての個展。彼の以前の作品を新たな領域にて適用することで作品を蘇らせていく内容で、それは額縁や写真イメージを超越し、全く絵画らしくない所以の一部分を説明するものとなっている。
構成は、物質性を「塗料で無くした」大理石の作品、銅の写真を元にした絵画作品、そしてギャラリーのガラス張りの外装に加えられた絵画的インスタレーション作品の三部からなっている。各作品は、従来の額縁をはるかに越えたイメージに基づいて構築される抽象的な資料と記録であり、観察力と物質性が絶え間ない会話を共有し、周囲の空間が進化するにつれて変化し、繰り広げられるミニマルな演出は、個性に乏しい素材に個性を見出そうとする本能を包み隠す。大量生産、再現、複製が示唆するのは、目が精巧になればなるほどイメージが静かに見えるということとも言えるだろう。
ぜひ足を運んでいただき、場所・物体・素材・ものの見方との対話を通じて、まるで外界と死後の世界へと展開する宇宙論のようにも映る、彼の世界観を堪能してほしい。
Courtesy by Perrotin