Interview With 渋谷慶一郎

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© Kenshu Shintsubo


Official Site: www.atak.jp
Interview by Arata Sasaki

渋谷慶一郎という人間は実に稀有な存在だと思う。
音楽家である以上、アウトプットにはそれ相応のインプットの質・量、そして感覚的な咀嚼が必要な事は言 うまでもないが、そうしたセンシティブな要素と戦略家とも思えるようなロジックが渋谷慶一郎の中に内包しているように思う。
芸術家の多く は、その才能がセンスティブな方面に費やされるのに対して、彼はロジカルなマーケティングでも存分に力を発揮しているように思えてならない。

ま た、渋谷慶一郎が活動を開始した2000年前半は奇しくも音楽バブルが弾けた苦境の時期。
どのように激動の音楽業界をサバイブする知恵を身につけ てきたのだろうか。

(※渋谷慶一郎 氏がゲストとして出演するエディケーションイベントNITが、2010年4月16日(金)に開催されます。
2010年代に形成されるであろう社会モデルやパラダイムシフトを生き抜く術を、多角的に掘り下げていきます。
イベントの詳細は、こちらからご確認下さい。
)



"戦略がないことが戦略"

Hitspaper: まずは、ATAKが設立された当初の事を聞かせて下さい。
当時、音楽業界としてもバブ ルが弾けた後で大変な時期だったと思いますが、その当時どのような思いで活動を開始したのでしょうか?
ラップトップミュージックを表現領域として 選んだ理由も併せて教えて下さい。

Keiichiro Shibuya: ATAKの活動を開始したのが、2002年なので8年経過しましたね。
バブルが弾けた後、ラップトップミュージックが流行したのは必然なんです よ。
お金かからないしパッケージまでラップトップでデザインできる。音楽的にも産業的にもテクノロジー使ったパンクみたいなもんですよ。
僕 の場合、結果的にそうした状況が終息し始めた時にスタートしたんですが、
色々な人にどのようにして、そうした状況下で「サバイブしてきたか?」と いう質問を受けます。
で、音楽を作って発表するまでというのはそういう状況論的な事とは別に、そのときの情勢から影響を受けて咀嚼して形にすると いうことなので、ある程度時間がかかることなんですね。
僕の場合は、元々、アコースティック楽器のために譜面書いて音楽作っていたから、ラップ トップに移行するのは大きな変化なのでアウトプットするまで時間がかかりました。
故に色々見たり聴いたりする時間があったというのはあったのが良かったのかもしれない。考える時間がすごくあったから。あまり状況を判断してやり始めた訳ではないのです。
今が、絶好のチャンスとか下火になった から頑張ろうとかそういう事は、全く考えていなかった。



Hitspaper: 渋谷さんのキーフレーズで、「戦略がないことが強さになる」と良く言ってますが、
こう した事に通じているのでしょうか?

Keiichiro Shibuya: そうです。一方向のロジックだけで動いているわけではないので解釈不能性と偶発性・遇時性を取り込むのは強さにつながります。そもそもATAKって元々、 attackの書き間違えだし(笑)。
周りから見た場合、僕の行動が予測/解釈出きなくて、何故次こういくんだって?言われるんだけど僕自身に明快 な答えがあるわけではない。
だから戦略がないから、逆に戦略的に見えてしまうというだけなんです。これは活動当初から変わっていないです。



Hitspaper: 先程、事象が発生し、そこから何かしらインスピレーションを受けて、自ら咀嚼するまで時間がかかるとおっしゃいましたが、アウトプットの結果が近年の消費のサイクルでは、急速にピッチを上 げて飲み込んで行くような感覚があります。
また、サプライチェーンもまた急速に消費をする為のインフラ環境が整ってきたように思うのですが、そう いった状況についてどのような事を感じますか?

Keiichiro Shibuya: 僕の場合は、消費のサイクルは速い方が都合が良いです。
何故なら、僕の実際の音楽活動はそうした消費のサイクルとは無関係に広がっているので、 消費サイクルが速いほど僕の活動は特性を帯びてくるのでやりやすいのです。
ソロのアルバムは当然作るし、池上高志さんとも相対性理論とも荒川修作 さんともコラボレーションするし、インスタレーションのプロジェクトもやる。これらは、すべて僕の中では繋がっているけど、俯瞰的に見ると関係なく見える だろうし何だかよく分らないやつということになるでしょう。それが居心地がいいし次に動きやすい。
これは、状況を虎視眈々と見て何かが流行した ら、それをやって廃れたらまた変えてという人とは全く違う。
今、何か流行しているかなんて事は、僕にとってはどうでもいいことです。



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© Ryuichi Maruo



Hitspaper: トレンドには興味はないですか?

Keiichiro Shibuya: 新しいトレンドやサイクルには凄く興味があるんですよ。多分すごくあるほうだと思う。だから結構チェックしているし、特に僕が知らないことを教えてくれる 人には興味あります。これは僕よりも若い人に多い。
良く言われているのが、今、若い人がアートを知らないとか本当の音楽を知らないとかっていうこ となんだけど、そんなのは別にいいと思うんですよ。
僕が知らなくて彼らだけが知っていることもある訳だから。現代美術の歴史を知っているのと、例 えば今、デザインとかwebで何が起きているとか、どっちが偉いということはないですよね。
アートを見るのも、他の音楽を聞くのも、自分のクリ エーションの為に摂取している訳だから、僕が知らないことを知っている人から学ぶことは大きいです。
そこで何が得られるかは情報の優劣ではない し、普遍性というのは全く興味ないんです。いま、何を作るかだから。
だから現代美術のほうに普遍性があるから、昔の事を知識として知っている方が 偉いというの考え方は有効じゃないと思います。もちろん知っていてもいいんだけど。




Hitspaper: 渋谷さんの交流関係を見ていると、非常に納得 しますね。
本当に様々な領域の方と交流する機会があると思うのですが、気を付けている事等ありますか?

Keiichiro Shibuya: 今、自分の欲求の何処に嵌めるかというのは、多少なりとも考える。
かといって、無理に嵌め込むということはしないんだけど。
僕自身も情 報の一つだし、昔からアーティストは捨て石になれと言ってるわけですが(笑)。
ただ、僕は捨て石だけど、なるべく面白く活動したいし、そのために は、レスポンスはないよりあったほうがいい。





他ジャンルとのコラボレーションは、インティマシー(親密性)が重要になる

Hitspaper: 公私のボーダーを分けるまでももなく、本当 にフィールドを広くとられていますよね。
様々な人とのコラボレーションをしたり、先程、戦略性というワードが出ていますが、
ストラテジー というより、多くの人間と交わる事で多角的に自分というものをリフレクトしているように思えます。
何というか活動が立体的に見えるんですよね。

Keiichiro Shibuya: そう、どうやってそんなに交流関係を広く、多くの人とコラボレーションできるのかって聞かれるけどそれも無意識なんですね。
ただ最近気が付いた のは、僕と同世代の音楽家って凄く少ないんですよね。さっきも言ったけど不景気だからバンドやユニットやろうぜって状況が生まれにくかったというもあるか もしれない。
ちょうど僕の世代だけスコンと抜けているんですよ。だから必然的に、音楽以外の友人の方が多くなっていった。
おそらく、音楽 業界だけで充足出来ていればそれはそれで良かったと思うけど、そうじゃなかったんですね。ただATAKを始めてmariaっていうパートナーが居た時は、 お互い尊敬し合いながら一諸にレーベルやっていたわけだから、ある種充足していた。



Hitspaper: 状況論的にそうせざる得なかったという事です ね。
どのような形でコラボレーションをしていくのかプロセスを教えて下さい。

Keiichiro Shibuya: 会ってディスカションするよりは、何か一緒に作ってみたり、例えば展覧会があれば一諸に何かやった方が刺激もあるし、お互いのやっている事をより深く知る ことが出来ます。
創造は、すべて途中報告でしかないから、知るきっかけとなって締切が来て、報告=発表の連続でいいと思う。
それが日常だ から、なるべく同じメンバーでやって、共進化っていうか一諸に成長していくというのがいいと思っているんですよね。
だから、今コラボレーションし ている人は昔からの付き合いで、友人の時期も長いんですよ。
それは、時間的な境界がないのも大きいかもしれない。ここからプライベートでここから ビジネスというような境界線が僕にはないから。




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© Kenshu Shintsubo



Hitspaper: 多くの人間とディスカッションしたりコラボする事で、自らの人間性に還っていくことは多いです か?
特に、音楽はストレートにアウトプットとして大きな影響を与えるものだと思います。
こうした交流関係やコラボレーションを通じて、現 在と過去を比較してどのような変化してきたでしょうか?

Keiichiro Shibuya: 変わる部分と変わらない部分がありますね。
遊ぶだけだったら全然問題ないのですが、何か一諸に作るという場面になった時、必ず相手と喧嘩になり ます。
で、これは女性との関係と同じで(笑)喧嘩になった時に終わるのは尊敬していないからですよね。
お互いに尊敬していればそうした軋 轢は有意義な事です。
何故なら、それぞれのジャンル・専門性の違いが露呈するわけだから、前提自体が組み替えられる。
僕は成熟よりは変化 を求めているから前提が変わるようなことはすごく刺激で面白い。
例えば、池上さんのような本物の科学者と一緒に音楽とかインスタレーションを作っ たりしていると、向こうには向こうのロジックがあるから絶対衝突はあるんだけど、僕らの発想では出来ない発想が彼らにはある。
それがかたちになる かどうかも含めて確かにリスクはあるけれど、ここからインプットするものは計り知れないから、そこに僕は賭けます。



Hitspaper: 非常に共感します。
HITSPAPER も、将来的には、サイエンティストや経済学者の方にもインスピレーションを与えられるようなプラットフォームを築きたいと思っています。
また、戦 略が非常に大事に事は重々承知なのですが、そうする事で、よりセグメントしたビジネスとなっていくのは必然で、それって作り手自身は面白くないなと考えて います。
日本の経済状況を見ても、狭きコミニティで消費されて、新しい種も産み出さない状況を危惧していて、世代的にも他のジャンルの溶解を掲げ て新しい種・産業を創りあげていくそんな未来を考えている人は多いのではと思っています。
そうした中で、今twitterなどに代表されるソー シャルメディアや、もしくは僕らのマインドもそうかもしれないのですが、実行可能なインフラが整って来ているように思えるのですが、渋谷さんが考える現状 のソーシャルの在り方、もしくはもっと身近な音楽業界の在り方などを教えて下さい。

Keiichiro Shibuya:
業界を溶解させていくことは、僕は、賛成なんですが、例えば100個そうした活動があったとしたら、おそらく上手くいくのは1個くらいだと思うんですよ。
やっ ぱり欲望というところで一致していないと、これはビジネスとかターゲットがどうこうという話ではなくて、こういう事がやりたいんだっていう単純に純度の高 い欲望の部分が共有している必要があると思う。

僕は、池上さんと数年やっているんだけど、これは別に誰に頼まれてやっている訳でもない し、これ自体にお金が出ている訳でもないし、本当にやりたいからやっている。
結果的に作品として何年かに一度結晶させるけど。
反対に科学 とアートを融合させようって大学同士が作っても、現場の人間同士がシンパシーを感じてなかったら当然上手くいかない。
グローバルに他ジャンルとコ ラボレーションする場合、インティマシーというか親密な関係性が最も重要になる。
だから、新しくプロジェクトを立ち上げるよりは既にあるコラボ レーションやプロジェクトを応援するほうが良いと思う。支援がないと出来ないんじゃ話にならないんです。
結局、やりたい人は勝手にやるし。

後、 コラボレーションしたがる人やそれに付随する人たちはすぐにお金のことを考えるけど、それは上手くいかないと思うんですよ僕は。
遠周りになっちゃ うと思うですよね。
だからこそ、今あるコラボレーションをどのように応援するかで今後の10年が変わってくると思う。



Hitspaper: twitterなどに代表されるソーシャル メディアによって、嘗てであれば、ある程度時間を掛けて作られる業界のコネクションが、現在だと、より簡素に関係性を創りだせる環境になってきたと思いま すが、こうした情報社会についてどう思います?

Keiichiro Shibuya: twitterは即時性というのが今までと大きく違いますよね。
で、人に会うのがリアルで、twitter上でつぶやく事がリアルじゃないとい う事ではもはやないですよね。
だってtwitterでつぶやく方が、実際人と話している人より一杯いますよね。僕がそうなんですが(笑)。普段は ずっと一人で制作しているから。
だから本当にバーチャルとかリアルの境界なんてないから、それは創作のテーマにはもう成り得ないですよね。

ちょっ と前にPCをいかに身体的に弾くかっていうのが流行したんですが、それは例えばギターがリアルでPCはリアルじゃないっていう前提なわけでしょう。
で もそんなのはすぐに現実に追い越されると思っていたらそうなった。
また、神経細胞とかネットワークシステムを利用してメディアアートを作ることが 流行しましたが、あれも危ういですよね。
実際のtwitterよりも複雑なネットワークを プログラムで作れるのか?という話になってしまう。
今 までバーチャルとされて来たものが再定義されていると思うのです。

それから、最近だとtwitter経由で仕事のオファーすら来るように なりました(笑)。
でもこれはコネとかネットワークがないとアクセス出来なかった人が簡単にアクセス出来るようになった訳で、すごくシンプルで す。絶対的に状況は良くなったと思うんですけどね。






お金=応援票
マイクロペイメントシステムで価値観が変わる?


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© Kenshu Shintsubo



Hitspaper: こういう状況に なった事で、手で触れる事が可能な物質に対する考えは変わりましたか?
例えば音楽でいえばCDに対する思いとか。

Keiichiro Shibuya: 僕もCDをリリースしているし、ATAKでも凝ったCDジャケットなどを作ったりする
ので、プロダクトに対する偏愛があると思われがちなんですが、決してそうじゃないんです。レコードコレクターでもないし。
そもそもCDが回転するのはレコードに対するアナロジーな訳で、デジタルデータ焼いているいものが丸くて回るのはおかしい(笑)。
CDはそういう意味で根本的におかしなメディアで、そういった両義性が面白い思ってレーベルを始めたところがあった。だからアナログのリリースはそんなに興味がなかったんです。
始めた頃から過渡期だなと思って訳ですが、過渡期を過ごすなら最も面白い過渡期を過ごそうという気分もありました。



Hitspaper: 音楽はすべてウェブによるダウンロード課金になると思いますか?

Keiichiro Shibuya: 絶対にダウンロードになるでしょう。
現在は、お金を極端に払うという考え方で、例えばCDがレコードのアナロジーであるのと同様に、
課 金というものも貨幣へのアナロジーだと思う。
ウェブの中で、何故、クレジット決済などでお金を払う必要性があるのか?
もちろん何らかの形 で対価というのが発生しないと貰わないと困る訳だけど、形態としては不自然なんですよ。
僕自身、他のやり方が可能なんじゃないかなと思っていて、 色々考えているんだけど。
ATAK始めた時はテクノロジーと音楽のカッティングエッジをCDというモノとしてアーカイブするということがあったけ ど、データを買うことの新しいインフラを作ってCDレーベルからデータレーベルに完全に新しくリニューアルするときがくるだろうなと思っています。



Hitspaper: 課金・ダウンロード性になって、リアルな応 援票という感覚が強くなって来ているような気がします。
CDの形態だと仲介が入ったりすることで、間接的な感覚が強かったように思いますが、、、

Keiichiro Shibuya: あと、CDの場合はくれっていう人がいるんですよね(笑)。
これは物質だから、ご贈答みたいな形態が残ってしまうのかなとも思うし、何よりも面倒なわけです(笑)。
そういう意味では、データだとご贈答みたいな慣習からも切り離されるし、仰るように応援という形がより見えてくると言えるかもしれない。
コピーの問題は単価を考えるとお金=応援票として乗り越えられるという気はしています。

例えば100万円を1人の人間から対価として貰うより、100円で1万人が買ってくれた方が嬉しいし、市場も活性化する。

今、面白いプロジェクトに参加しているところなんですが、それは課金のシステムもユニークなんです。
TAP MUSIC(www.tapxmusic.jp/)というマガダスカルの人々が清潔で安全な水を使えるように支援するためのプロジェクトなんですが、そこのwebサイトにある曲1曲聞くと1円に換算されてユニセフを通じて寄付されるんですね。
それは協賛企業が入ることによって実現するんですが、ユーザーは音楽を聴くだけではなくて、水の入ったコップを叩くとドレミが出るようなインターフェースがweb上にあって曲を制作出来る。その曲を投稿すると10円が寄付されるという仕組みなんです。

何よりも音楽が媒介になっていることが素晴らしいし、ユーザーはそこで音楽を聴いたり作ったりするだけで寄付できるわけだから非常にスマートなシステムですよね。


Hitspaper: マイクロペイメントシステムで課金を考えることがスマートな提案になるかもしれません。
ウェブが成熟する事で、お金=応援票という考え方が本格的に 進んでいきそうですね。





情 報過密社会では、共通認識・コンセンサスがとりにくいものが排除されてしまう怖さが潜んでいる

Hitspaper: 話題は変わりますが、渋谷さんは非常にセンス ティブで且つロジカルシンキングが出来る稀有な方だと思うのですが、自身ではどのように捉えていますか?

Keiichiro Shibuya: 自分自身のことはよく分らないんだけどそうだとしたら、客観的にみた自分を自分だと思えないことがあるからかもしれない。
これはどういうことか と言うと、例えば自分の言動とか批評を雑誌やウェブで見たりしてもあまり結びつかないんですよ僕は。この自分について書かれたことと思えないというか (笑)。
僕は周りの目が、全く気にならないというのもそれと関係あるかもしれない。



Hitspaper: 幼少の頃からそうだったのでしょうか?

Keiichiro Shibuya: そうかもしれない。
最近、もしかしたら関係あるのかもな?と思うのは父親が社会心理学というのをやっていたということで、自分のアクションが少 なからず周りに波及・影響を与えるということは子供の頃から感覚的に知っていたというのもあるかもしれないです。



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© Kenshu Shintsubo



Hitspaper: 社会に影響を与えたりしたいと感じることはありますか?

Keiichiro Shibuya: うーん、 僕の活動はやりたいことの自我が非常に強いぶん、それを成立させる
ことを第一に考えています。
大衆に影響を与えることがプライオリティの一番ではないので、音楽が売れないのも困るけど、無理な売れかたでピークを迎えるのも困るのです。
「クリエーターが消費される」っていう定型文があるけど、今は消費のスピードが速いから消費されたら帰ってこれないと思うんです(笑)。
だから、僕は針の穴に糸通す方法でずっとやって来ているし、成立させる方法も知っている。そこにアディクトする人たちに支えられているという感じでしょうか(笑)

Hitspaper: 社会に影響を与えることはあまり興味がない事 は解ったのですが、
非常に社会に関しては興味を持っているように感じます。

Keiichiro Shibuya: そうですね。興味あります。
それと近年だと日本の情報過密の状態って面白いと思います。
それは病理とか言われることもあるんだけど、病 理も一つの特色だし、特色がない事ほど面白くないと思っているから。
けど、怖いのは、解りやすさに傾倒するおそれがあって、共通認識、コンセンサ スがとりにくいものが排除されてしまうので、大半が結果的につまらない事になりかねないという事です。
情報が均一化されたら地獄のようにつまらな いですからね。
発信者がバランス良くコントロールしないと、やりたい事がひどく均一化される可能性があると思います。



Hitspaper: 最後に音楽で食べていこうとするクリエー ターに向けてメッセージを戴けますか?

Keiichiro Shibuya: 好きな音楽をやってほしい。音楽って儲かるモノだと思っている人が結構いるのですが、
産業規模から考えても決してそんな事はなくて、そこがス タートだと非常に大変な事になります。
絶対に音楽をやりたいって思いが気持ちがあって、それを継続可能なかたちにしていく方法論を考えていく事が 大切なことだし、その方法はもはや個人にあるのです。






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渋谷慶一郎 Profile

音楽家。東京芸術大学作曲科卒業。2002年にATAK設立。音楽レーベルとしてだけではなく、デザイン、 WEB、映像など多様なクリエーターを擁し、精力的な活動を展開。
2004年にリリースしたファースト・アルバム「ATAK000 keiichiro shibuya」は「電子音楽の歴史のすべてを統べる完璧な作品」と評された。
2005年より複雑系研究者/東京大学教授の 池上高志と非線形物理学の応用による「第三項音楽」を展開、その成果として2006年には三次元立体音響によるサウンド・インスタレーショ ン"filmachine"を、2007年にはそのCDバージョンとして世界初のヘッドフォン専用・三次元立体音響CD"ATAK010 filmachine phonics"を発表。これらによって2007年度アルスエレクトロニカ・デジタルミュージック部門でHonorary mention受賞。
2008年には世界最大のテクノロジーアートのフェスティバルであるトランスメディアーレ(ベルリン)で filmachineを発表、コンサートも行う。
また、国際交通安全学会の依頼により歩行者横断用信号の実験のための音楽を作曲。
2009 年にはヨーロッパ、アジア数カ国から日本に渡るATAK NIGHT4ツアーを行う。
同年9月に初のピアノソロ・アルバム「ATAK015 for maria」を発表。国内4カ所でコンサートツアーを行う。
2010年1月には相対性理論とのコラボレーションによるCD「アワーミュー ジック 相対性理論+渋谷慶一郎」を発表。
http://atak.jp

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NIT tokyo vol.4 Information

HITSPAPERがオーガナイズするエディケーションイベント「NIT」 に、渋谷慶一郎 氏がゲストとして参加します。
2010年代に新しく形成されるであろう社会システムを、多角的に分析すると共に、大きなパラダイ ムシフトをサバイブする方法を、多くのゲストと共にディスカション形式で読み解いていきます。

NIT tokyo vol.4 「パラダイムシフトをサバイブする
日時:2010年4月16日(金) 19:00〜
ゲスト:渋谷慶一郎 (ATAK)
スペシャルゲスト:松原慈(assistant)、有山宇 (assistant)、NOSIGNER
チケット料金:3,000円 (税込) ※フード(軽食)・1ドリンク込みの金額です。
場所:東京都渋谷区神南1-14-3 1F (→Google Map)

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