Toshiaki Hanzaki / Interview With Toshiaki Hanzaki

(c)OORONG-SHA
H.P :www.toshiaki-hanzaki.com/ (Official Site)
Interview by Subaru Matsukura
映像が音楽を、音楽が映像を。
両者が高い次元で共鳴し、お互いの物語が爆発的に広がり、重なりあっていく。
フリーランスの映像作家として活動している半崎信朗の映像世界には、何か独特な感触がある。
最新作でもあるMr.Children「花の匂い」のPVでは、たった数分感の世界を越えた先の世界すら感じさせる。
今もっとも注目を集める若手映像作家に映像に対する考えを伺った。
Hitspaper:初めに半崎さんを知らない読者の方に、簡単に自己紹介をお願いできますか?
Toshiaki Hanzaki:2007年東京藝術大学大学院修了後、フリーランスの映像作家として活動中しています。現在までに劇場マナーCM、ドラマのオープニング、テレビ番組短編、PV等を手がけてきました。
Hitspaper:映像を作り出したきっかけを教えてください。また、どのようなクリエイターに影響を受けましたか?
Toshiaki Hanzaki:大学3年生まで主に平面作品(絵、イラスト)を描いていましたが、どこか不完全燃焼でした。
試しに作ってみたアニメーションにどんな音楽を付けようかとあれこれ思索しているうち、夢中になってしまって、僕がやりたいのはこれかもしれない。と思いはじめました。
動画と音楽(もしくは音)がカッチリ組み合わさったとき、今まで平面作品で得られなかった満足感を得ることが出来ました。
影響を受けたものといえば、小学生のころ「風の谷のナウシカ」を叔父に見せられて、当時何度も繰り返し見たのを覚えています。いろいろな意味で衝撃を受けました。

「Birds」(2005) animation & music Toshiaki Hanzaki (c)Toshiaki Hanzaki
Hitspaper:元々は映像を作っていたわけではなく平面作品からだったんですね。長編アニメーションを作りたい、というモチベーションはあったりするのでしょうか?
Toshiaki Hanzaki:つ い最近まで長編を作りたいと思ったことはありませんでした。なぜなら、今までの作品はほぼ一人で制作していたので、作品内容全てをコントロール出来まし た。長編になると物量が増えるので、それは難しいかもしれない、と不安があります。また個人的な好みとして、展開やテンポの良い物、速い物が好きだったの で、見ている側の集中力を考えると、大体5分程度が妥当なのではないか、と感じています。丁度ミュージックビデオくらいの尺ですね。しかし、ここ一年ほど で少し好みが変わってきました。
中編や長編ならではのメッセージの伝え方や、間の使い方にも興味が湧いています。自分で作品をコントロール出来るかは、環境次第ですし。。。まずは中編でしょうか。
Hitspaper:卒業制作で作成された作品についてお伺いしてもよろしいでしょうか。その作品はどのようなコンセプトで作成されたのでしょうか。当時何歳頃だったのでしょう。

「Birds」(2005) animation & music Toshiaki Hanzaki (c)Toshiaki Hanzaki
Toshiaki Hanzaki:「鳥の街(Birds)」 という作品です。当時24歳でした。香港に旅行に行ったときインスパイアを受けて作ったものです。香港のバードタウンで見た、積み重ねられた鳥籠と、香港 のゴチャゴチャしたアパートの外観が重なって感じられました。また、それは植物細胞が配列されているようにも見えて、一つの部屋と一つの核という共通点が 興味深かったです。
基本テーマは建物全体が生き物のようなイメージです。あらすじは、舞台の街に飛んでくるミサイルを、人のゴミから作られた鳥たちが防衛のため迎え撃つ。というものです。そんな風景が日常的な街を描きたいと思いました。
飛んでくるミサイルは風邪の菌であったり、体(街)に害あるものの象徴です。また、鳥は菌に対抗するT細胞やのような存在です。

(c)OORONG-SHA
Hitspaper:物語の設計が確立されていますね。Mr.children「花の匂い」は非常に素晴らしい作品でした。この映像でのコンセプトや世界観は、どのような経緯で設計されたのでしょうか。
Toshiaki Hanzaki:は じめに映画のタイアップと聞いたので、その映画からそれほど遠くない所で同時にオリジナリティーも出せる場所を模索しました。当時、山田真さんが船舶解体 場を撮った写真にものすごく衝撃を受けていたので、まず巨大な船を描き、それを見ながら、そこには人(ウサギ)が住んでいて、戦争に駆り出されたりする。 と想像を紡いでいきました。
本当はウサギが住んでいるような船が他にも無数にあって、様々な種(動物)がそれぞれの船で生活したり戦争したりしている。しかしそれらの船も昔は一つの大きな船だったという「ノアの箱舟」のような話を考えていましたが、
制作期間の関係もあり、家族の話をメインにしました。しかしPVとしては不透明な部分を残したことで逆に良い塩梅になったと思います。

(c)OORONG-SHA
Hitspaper:「不 透明な部分を残す」という言葉にとても共感しました。あのPVを見た際に受け手がさまざまな想像を展開したと思います。実際、私もそうでした。受け手に よって、あのPVで描かれている世界を各々が拡張していけるクリエイティブだと思います。このように不透明な部分を残すということはこれまでにはなかった ケースですか?
Toshiaki Hanzaki:今までの作品を振り返ると、先に紹介した「鳥の街(Birds)」なんかはテーマがあっても、
見ている側からすると不透明な印象を与えるかもしれません。「受け手によって、あのPVで描かれている世界を各々が拡張していけるクリエイティブだと思いました。」との御感想、非常にうれしいです。
Hitspaper:私はあの映像を見た後の余韻は近年のPV作品の中でも最も尾を引く内容でした。各々で拡張されていく感覚を共感して頂ける読者も多いかと思います。では、次に制作する際に心がけている点を伺ってもよいでしょうか。
Toshiaki Hanzaki:言 葉を用いないで視聴者に何らかの感動を与えることが出来る映像という媒体は、大学当時、文学にコンプレックスを抱いていた僕には救いの手でありました。そ れからは、「言葉」で表すことの出来ないものをどう「映像」で表現出来るかが作品を作るモチベーションになっています。
またどんなに難解なアイデアでも最終的に表面に出てくるものは面白いもの(興味深いもの)でないといけないと思っています。ビジュアルはあくまで包装紙だと思いますが、それが良くないと中身も見てもらえません。

「Birthday」(2007) animation & music Toshiaki Hanzaki (c)Toshiaki Hanzaki
Hitspaper:文 学にコンプレックスを抱いていたのですね。これまでの作品もいくつか拝見させていただきましたが、「花の匂い」のPVは群を抜いて映像に文脈を感じる内容 かと思いました。さらに半崎さんの映像は、音とのシンクロが非常に秀逸だと思います。その点は意識して作成しているのでしょうか。
Toshiaki Hanzaki:映 像を作り始めたきっかけがそれだったので、常に意識して作っております。良いシンクロは 映像+(プラス)音 ではなく 映像×(かける)音 になりま す。PVの場合、音が先にあるので、どの程度の映像密度が良い塩梅か試行錯誤します。まだまだ経験も浅いので、何度も合わせてみないと良し悪しの判断が難 しいですね。
Hitspaper:では、クリエイターにとってもっとも重要な要素はなんだと思いますか?
Toshiaki Hanzaki:僕の浅い経験から得た持論ですが、どれだけ色んな物を見たか、ではなく、どれだけ同じものを繰り返し見たかが重要だと思います。「自分が良いと思う理由」を繰り返し分析することでしょうか。色んな物を客観的に分析する批評家と作り手の違いはここにあると思います。
Hitspaper:世界では深刻な問題が起こっています。経済危機、戦争、テロリズム、環境問題など、これらの問題をデザインの力で解決する方法があると思いますか?
Toshiaki Hanzaki:今まであったのに気づかなかった問題が、情報の氾濫によって、次から次へと耳に入ってきてしまい少し戸惑います。
戦争を体験していない僕には、親や恋人を殺された人たちに向かって報復するな、と言う権利は無いと思っていましたが、
様々な事情を知ることができるようになり(ネットの効用)、第三者的な立場からこそ言えることあるのでないか、思えるようになりました。そのときに必要なのはデザインの力だと思います。
Hitspaper:今後チャレンジしたいことなどありますか?
Toshiaki Hanzaki:今まで作ったものは、僕の中では習作のつもりなので、これらの経験を基に、現時点での集大成的な作品を作りたいと思っています。
Hitspaper:期待しています。インタビューありがとうございました。
--
映像作家 半崎信朗が創り出す世界は、どこか絵本の世界のようでいてセンチメンタルな感慨に襲われる。
気がつけば2Dだった彼の世界観は、受け手の心に投影され、まるで自分の物語のように成長していく。
過去の作品でも映像的余韻が強く感じられる内容だったが、最新作「花の匂い」では、その世界観が爆発した。
たった数分の映像世界で楽曲のメッセージを増幅させるミュージックビデオの世界において、彼が送り込んだ映像世界は、新たな映像表現の可能性を秘めているのではないだろうか。
それは数分の映像劇で終始しない、各々に託された世界観の増幅。見る人の心に楽曲が終わった後ですら、その映像世界の匂いが、やわらかく香るような不思議な才能をもっている。
バトンのように託された各々の物語を出来ればあなたにも育んでもらいたい。
あなたにはどんな世界が広がるでしょうか。
---





















































