takram / Interview with Kinya Tagawa, Kotaro Watanabe, Takafumi Iwai

(c) water project, photo by Takashi Mochizuki
H.P : www.takram.com
Interview by arata sasaki
takramは2006年に東京で田川欣哉と畑中元秀によって設立された、デザインとエンジニアリングを兼ね備えたハイブリットな人間で構成された新世代のデザインファームです。
以前、取材した[water]展にて、非常にアナログな素晴らしいインタラクティブ作品[ふるまい]を見ていた私には、こうしたデザインエンジニアリングという言葉から相当なギャップを受けていて、取材前から非常に興味を引かれていました。
このインタビューを通じて新しい形のデザイン設計事務所takramの魅力を伝えることが出来れば幸いです。
Hitspaper:始めにtakramの設立について教えて下さい。
Tagawa:takramは2006年に設立されたデザインエンジニアリングファームです。私、田川欣哉と畑中元秀の二人で創業しました。
元々、私たちは東京大学の工学部機械科出身で私はその後、英国王立芸術大学院(RCA)に行き、畑中は米国スタンフォード大学に行きました。
私はイギリス的なモノ作り、畑中がアメリカ、特に西海岸的なモノ作りを学んでいて、その二つを合わせて更に、そこにアジア的な技術や視点を加えることで、新しいデザインアプローチを作れるのではないかということでスタートしたのです。
Hitspaper:takramという社名は非常に面白いと思うのですが、何故こういった名前を付けられたのですか?
Tagawa:まず世界の人々が発音しやすいこと。また、日本から発信するという意味で、漢字の企(くわだてる)から名前をつけました。
こ の漢字は、もともと畑に鍬を立てることを意味しています。どこに畑を作ろうかということから始まり、土をたがやし、種を蒔いて、水をあげて、悪天候にも耐 え、最後には収穫をしてというサイクルが、私たちの目指すものづくりのスタイルに近いのではないかということで、このような名前にしたのです。
Hitspaper:なるほど。それでは、デザインエンジニアリングファームについて教えて戴けますか?あまり聞き慣れない言葉だと思うのすが、、、
Tagawa:takramではデザイナーとエンジニアがそれぞれ別のプロフェッショナルとして活動しているわけではありません。
そのかわり、デザインとエンジニアリングのスキルを併せ持ったハイブリットな人間が在籍しています。
私たちはそのような人々をデザインエンジニアと呼んでいます。
そのようなハイブリッド人間の集団ということで、「デザインエンジニアリングファーム」という名前を好んで用いています。
Hitspaper:実際にはどのように制作を進行していくのですか?
Tagawa:ま ず、プロトタイプ(試作品)の制作から始めます。機能性をユーザーに対してどう伝えていくか、それによって生活がどのように変化するのかというようなコア な部分をあぶり出し、それをプロトタイプとして具現化するためにデザインと設計を行います。そして、完成したプロトタイプを様々な手法で検証します。
プロトタイピングと検証を繰り返すことで、最終的にはそれを量産に耐えるクオリティに高めていきます。


Hitspaper:実際の作品について説明して戴けますか?
Tagawa:それでは、まず一つ目にご紹介するのが[Afterglow]と呼ばれるレーザーポインタを用いたレーザードローイングツールです。
これはプロジェクタ画面にレーザーポインタで自由に直接書き込みをすることができます。
Hitspaper:何故このようなものを開発しようと思ったのですか?
Tagawa:皆さんもお感じになることがあるのではないかと思うのですが、私たちが目にするPCを使ったプレゼンテーションは、紙芝居のように一方的に進んでいく退屈なものが多いです。
せっかくコンピュータを使っているのに、コミュニケーションとしては硬直的でつまらないなと。
こんなことなら、黒板と白墨で行われていたアナログな講義の方が、よっぽどインタラクティブで面白かったのではないかと感じたことが発端です。
[Afterglow]を使うことで、プレゼンの途中で手書きの補足を入れたりすることが簡単にできるようになりました。
書くという基本機能に加えて、画面のスナップショットを記録したり、自由に色を変えられたりと遊びの要素も入っています。
その先進性が認められて、2007年Microsoft Innovation Awardの最優秀賞を受賞しました。

photo by Yukio Shimizu

photo by Yukio Shimizu
Tagawa:二 つ目にご紹介するのが[tagtype]といわれる日本語入力装置です。工業デザイナー山中俊治さんと、takramによって開発が進められています。こ の入力方式は進研ゼミの電子付録機器や、ソニーVAIO -U 専用ソフトウェアキーボードとして採用されました。当初は肢体障害者のためのものとして開発を始めたのですが、そのアイデアがモバイルや子供向けの機器に 応用されました。この写真は、この[tagtype]を組立キットとして再開発したもので、自由に改造することができるようにデザインしたものです。例え ば、キーをおすと楽器のように音が鳴ったりと、色んな可能性があるハードだと思います。

(c)water project
Tagawa:三つ目は[water]展で展示されていた[ふるまい]という作品です。
Hitspaper:これは私も実際、展示会場で拝見させて戴きました。水というもの改めて考えさせてくれる素晴らしい作品だと思います。これは実際どういった形で制作していったのですか?
Tagawa:1 年ほど前から佐藤卓さんを中心とするクリエイティブチームで企画・構想を練りました。大学や国立研究所を訪問し、水というものを一から学ぶところからス タートしました。実際の制作に入ったのは展示の4ヶ月前くらいでしょうか。試作をして失敗してその体験を次に作品に戻すということを繰り返しながら少しず つ発展させてきました。ちなみに失敗作も含め200皿強は制作しましたよ。
Hitspaper:凄い数ですね!それでは、このプロジェクトでやりたかった事とは何でしょうか?
Tagawa:水 には一定の形がないということが一番面白いことだと思うんです。例えばコップに入れればその形になる。地面では窪みに溜まり水たまりになる。決められた形 というものがなく、無数に形があるんですね。この作品は、来場者が自由に水の入ったお皿を動かして遊ぶことができるようになっています。皿の動きによっ て、一つとして同じではない水の形が無数に引き出されるように工夫をしました。
Hitspaper:タイトルである[ふるまい]はそういった意味合いから来ているのでしょうか?
Tagawa:そうですね。水のふるまいであり、それを見た人のふるまいという意味です。水に対して、モノと人間が相互に作用するので、非常にアナログですが一種のインタラクティブ作品でもあるかと思います。

(c) water project, photo by Takashi Mochizuki

(c) water project, photo by Takashi Mochizuki

(c) water project, photo by Takashi Mochizuki
Hitspaper:確かにおっしゃられる通りインタラクティブな作品だと思います。大の大人がこの作品の前で声をあげて喜んでいましたからね。私は初めてtakramさんの作 品を拝見したのがこのアナログ的な作品だったので、普段、エンジニアリングデザインというお仕事をされているのが正直びっくりしたのですが。
Tagawa:そうですね、、、ただ[water]展の制作過程は、ちょうど僕らのやり方を象徴していると思いますよ。僕らのやり方はプロトタイプを作って、試行錯誤を繰り返しその体験を作品に戻すというものですから。
また、作品の根本にあるのが、常に、人間がモノに何かをしてモノがそれに応えて、また人間がそれに何かを与えるといった部分です。そういったサイクルをエレガントにデザインしたいと常々考えています。
Hitspaper:サイクルもデザインするということですね。
Tagawa:そ うですね。使い古された言葉ですが体験ということですね。このような考え方を、一歩先に進めると、モノ→人間という二つの対象に流れている矢印をデザイン するということになるかもしれません。僕らはモノ作りをしていますが、その矢印があれば、デザインすべき対象が形を持たないサービスのようなものであって も良いと思っています。
Hitspaper:takramさんのモノ作りの原点に興味があるのですが、、、どんな子供でしたか?
Tagawa:僕はモノを分解するのが好きでしたね。子供なんで元に戻せず壊して終わりだったですが (笑)
昔から表面だけでなく中身がどうなってるんだろうっていうことに対する興味が強かったです。おそらくそれは僕の人格を形成する上で重要な部分ですね。
Takafumi : 僕は図画工作なんかで木舟を制作していましたね。彫刻刀で彫ったり、、、僕も模型をよく分解してました(笑)
Kotaro:僕は妄想系でしたね(笑)
映画は良くみていて、当時流行っていたバック・トゥ・ザ・フィーチャーに出てくるホバーボードなんか妄想で考えていました。
Hitspaper:今後チャレンジしたことはありますか?
Tagawa:今 年は海外での活動を何かしらスタートできないかと考えています。クライアントワークなのか、展示会なのか解りませんがチャレンジしたいと思います。長期の 目標としては、私たちのようなデザインエンジニアという職業が、既存のデザイナーやエンジニアと並ぶクリエイティブな職業として、ごく普通に社会に根付い ている状態を作ることです。これは若干大きな目標ですが、やり遂げたいと思います。
Hitspaper:期待しています!長いインタビューありがとうございました。
Takram:こちらこそありがとうございました。





















































