“INFOBAR + YOU”連動企画
Text by Arina Tsukada
Photo by Sawako Fujii
独自の感性を持ち、不可思議でユーモラスな世界を生み出すアートディレクター、吉田ユニ。彼女が生み出すビジュアルは、フェミニンさと毒を合わせ持ち、幻想と現実が入り交じる独特の世界観で見るものを引き込む。「INFOBAR A01」を使ってキュートでクセのあるUIを手がけた吉田氏。女性クリエイターの洗練された美意識と自由な感性の原点に迫った。

- 女性のヌードがモザイク状になったかわいいUIですね。
Yuni Yoshida: はい、色々と機能を試してみたのですが、写真を分割できるのが新鮮だなと思って、使ってみました。縦にスクロールするインターフェースというのも面白いので、スクロールしたときにちょっとクスっと笑えるような仕掛けを考えました。女性のヌード写真を撮影したのですが、大事な部分はアプリのアイコンで隠しています。「赤外線送信」の赤ランプだったり、「プレイス」の赤いポイントマークだったり、遊びを入れてみました。写真を分割できるのは誰でも楽しめて面白い機能ですね。
- かわいさの中にエッジの効いたアクセントがあるのがユニさんの作品の特徴な気もします。小さい頃などに影響を受けたものはありますか?
Yuni Yoshida: 子供の頃はとにかく工作が好きで、NHK教育テレビの”のっぽさん”にはとても影響を受けていました。マネをしてロボットを作ってみたり、だんだんとハマってくるうちに、番組の中で静かに鳴り響くセロテープの音までもマネしていました(笑)。おもちゃで遊ぶときも、まずおもちゃを作ることから始めるような子供でしたね。歯医者さんごっこをするときは、まず入れ歯をピンクのねりけしと白い小石で作り、そこにマジックで虫歯を描いて、白い絵の具で塗りつぶして治療をするんです。カルテも作って、本格的なごっこ遊びをしていました(笑)。コワいものも好きで、つのだじろうさんや楳図かずおさんの本もよく読んでいましたね。
- ユニさんの作りこんでいくビジュアルの世界に通じるものがある気がしますね。
Yuni Yoshida: コワいものも好きなんですが、日常の中にあるちょっとした恐怖が気になるんです。ゾンビ映画でも、ゾンビが追いかけてくるシーンはそんなにコワくないのに、日常の中にふっとゾンビが現れた瞬間が一番コワかったりしますよね。
「装苑」2011年10月号 ”75 years of girls” 文化出版局
- 「装苑」75周年記念のグラフィックはNAMさんと制作されたんですよね。
Yuni Yoshida: 「装苑」75周年の記念すべきビジュアルだったので、せっかくだから75年分の「装苑」を実際に使って制作しました。一冊ずつ写真のプリントを背表紙に巻きつけているんです。「装苑」を今まで読んできた女の子のように、実際に「装苑」で女の子が作られているというイメージも混めています。NAMさんは、幻想的な世界を作りながらも目指す完成度は非常に高いので、とても刺激も受けましたし、すごく楽しかったです。
ねごと 1st Album ”ex Negoto”
- やくしまるえつこさんや、”ねごと”など、女性アーティストのビジュアルを手がけることも多いですが、意識されていることはありますか?
Yuni Yoshida: その時々のテーマや媒体に沿ってビジュアルを考えるので、特にこれといったことはないですが、同じやくしまるさんでも、音楽雑誌とファッション誌では違う見せ方をしています。媒体の特色によって読者も違うし、見せたい部分が違ってくると思うので。”ねごと”の時は、1stアルバムのジャケットだということもあって、彼女たちを印象的に見せる方法を考えました。「ねごと」という名前からマクラを連想して、彼女たちを抱きマクラにして色々な場所で撮影しました。
「THE BEE」野田秀樹演出 2012 WORLD TOUR &JAPAN TOUR
これは来年1月からワールドツアーとジャパンツアーが始まる野田秀樹さんの舞台「THE BEE」のメインビジュアルで、鏡を使って撮影しています。日常の中から生まれる恐怖を描いた作品だったため、普通の人間が鏡の使い方次第で怪物のように見えたり、日常生活のモチーフを入れて蜂のカタチを作りました。

MARQUEE Vol.87 “やくしまるえつこ”
- ユニさんの作品には、身体をモチーフのひとつにしてしまうなど、女性ならではの強さや毒を感じることがあります。
Yuni Yoshida: 特に意識しているわけではないのですが、ちょっとした毒の感じが嫌悪感に繋がらないようにいつも気をつけています。グロテスクだったり、やりすぎてしまうのは好きじゃないんです。「コワいけど、美しく見せる」ということが大事かな、と思って。そのバランスを見た引き算はすごくこだわっています。心のどこかにぐっと引っかかる強いビジュアルであることを意識していますね。

- その「やりすぎないこと」への引き算が非常にクールでスタイリッシュですよね。だからこそ、女性性の中に洗練されたビジュアルが生まれるのだと思います。
Yuni Yoshida: 割と女の子ターゲットのお仕事を頂くことが多いのですが、幅広いターゲットに向けたビジュアルも作りたいですね。今までとトーンの違う最近の仕事では、鈴木心さんが撮影した高良健吾くんの写真集のディレクションも手がけました。また、今後は海外の仕事にも挑戦してみたいです。
- 写真をモザイク状にアレンジして、キュートでクセのあるUIを作ってくれたユニさん。そんな遊び心のあるアイデアは、さまざまなユーザーがカスタマイズしたホーム画面を見られる「INFOBAR+YOU」でも見つかるかもしれません。ユニさん、ありがとうございました。
Works
「高良健吾 海 鈴木心」AKAAKA
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Yuni Yoshida
アートディレクター、グラフィックデザイナー。1980年東京生まれ。女子美術大学卒業後、大貫デザイン入社。2006年より、宇宙カントリーにアートディレクターとして所属。2007年に独立し、広告、パッケージデザイン、グッズデザイン、CDジャケット、映像、本の装幀等幅広く活動中。
About iida UI
インターフェイスのデザインとディレクションを担当したのは、卓越した表現力でWEB・モー ショングラフィックスの世界に革新をもたらしてきたWEBデザイナー、中村勇吾氏。縦スクロールでアイコンが整然と並ぶインターフェイスは、滑らかな操作 性とディテールにこだわった緻密なデザインで独自の質感を生んでいる。洗練されたデザインを楽しめる一方、アイコンのサイズや形を簡単に変えられるカスタ マイズ機能で、世界に一つのホーム画面を生み出せるのも魅力のひとつ。
http://iida.jp/products/infobar/interface/
About “INFOBAR + YOU”
「INFOBAR」のホーム画面が共有できるWebサービス。
ユーザーがカスタマイズしたさまざまなホーム画面を見られるほか、Facebookの機能を利用して気に入ったホーム画面に投票できる。
http://infobar.iida.jp/
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