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iida UI × Creator’s mind vol.4 – Interview with 太刀川英輔 / NOSIGNER

“INFOBAR + YOU”連動企画

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Text by Arina Tsukada
Photo by Sawako Fujii

「目に見えないものをつくる職業」をコンセプトに、デザインの領域を飛び越えて活動するデザイナー、NOSIGNER/太刀川英輔。3.11以降に立ち上げた、災害時に役立つアイデアをシェアするwikiデータベース「OLIVE」は大きな反響を呼び、そのアイデアは震災直後に被災地に届けられた後も、書籍の出版やLAでのプロダクト展示など、国を超えて伝搬している。恵比寿ガーデンプレイスを会場としたイベント「オープン、恵比寿!」で展開された OLIVEエキシビションから、NOSIGNERが追求するデザインの思考と美学に迫った。


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– かわいいアイコンですね。このUIのコンセプトは何ですか?

NOSIGNER:「重力」です。ボールが落ちて弾む重力の姿がここに表されています。右上にあるのは重力係数です。携帯電話がスマートフォンに移行してから、僕らが接するのはボタンではなくマルチタッチセンサーと液晶だけになりましたが、実はこうしたOSには、重力、張力、摩擦力などの反応が組み込まれています。スライド するときやアプリを開くときの反応などで、実際のボタンを押したときの身体感覚に近いインタラクションを生み出す為です。物質的なインタラクションが減ったことで、ソフトウェアの方が物質性に近付いているんです。同じように、ボールが物質として落ちていくというアニメーションを可視化させたらいいと思いま した。



– 元よりコンセプトとする思想がそのまま表されていますね。「NOSIGNER」という言葉を定義する太刀川さんは、「デザイン」をどのようにとらえていますか?

NOSIGNER: 「価値の最適化」をする人の本能だと思っています。それは、モノ本来の価値を見つめ、モノと周囲を結ぶ関係性を編集していく作業です。人類史以来、人はデザインをしてきました。縄文土器も火焔式土器も立派なデザインです。モノを生み出すことは、同時に様々な物事の定義を改変し続けていく 作業でもあります。その中で、モノの持つ可能性を探りながら、最も適した状態に近づけていくことが僕の目指すデザインです。個のクリエイティブを超えて、そうなるべくしてなった、というようなデザインを作りたいと思っています。


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- 3.11以降始められた「OLIVE」は、元々太刀川さんが進められていた、デザインのアイデアをシェアするプラットフォーム「Open Source Product」に起因していると思います。

NOSIGNER: 以前から、プロダクトの作り方をオープンソースにして共有することについて考えていましたが、震災発生時に立ち上げた「OLIVE」では、新聞紙やアルミ 缶、ペットボトルなどのどこにでもあるゴミが新たな価値を持ち、命を守ることにも繋がるということに小さな希望を感じて、オープンデザインによる被災者支援を行いました。
社会や経済の中における「価値」とは非常に概念的なもので、金融における価値は僕たちの身体感覚から離れていました。しかし、実存として価値を感じるもの、物と僕らの関係性の中に生まれる価値は、新たな可能性だと思っています。


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– 今後は、「OLIVE」のアイデアがもっと広く共有され、様々な場所で根付いていくことが重要になってくると思います。太刀川さんはこれからどんなことを目指していますか?

NOSIGNER: 誰もが変化していく時代に、固定概念に疑問を投げかけ、デザインに定着させ、イノベーションを生み出すプロフェッショナルになりたいと思っています。古いスタイルの企業や地場産業を見ても、スモールチームの組み方や視点の変換から浮かび上がるソリューションは必ずあります。慢性的になった慣習やあり方を疑い、デザインを通して関係の結び方を一緒に考えたい。この視界に入るものをひとつずつ変えていくこと、小さく世界を書き換えていくことは、世界を更新していくことに繋がると思います。



- イノベーションを生む秘訣のひとつに、磨きぬかれた「美学」が重要となる気もします。太刀川さんの抱く「美学」とはどのようなものですか?

NOSIGNER: 僕は、美しさと論理が結びつく瞬間があると思っています。自然のエコシステムが生む美しさのように、世界の原理に近付くことが自ずと美しくなってしまう方法なのだと思います。最適なこと・モノを追求すると、美しく融合したイノベーションが生まれるんです。花が美しく咲いて虫を呼び寄せるように、何かを必要とするとき、美はトリガーとなります。関係性を考える上で、美を考えないことはナンセンスです。今年手がけた、人工衛星かぐやが捉えた月表面のデータを3次元化した月のランプは、夜の明かりである月そのものを表現しています。個を超えたところに、美があるのだと思います。


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[The Moon]


– そのような美学と、「OLIVE」のようなパブリックなものは対極にあると思いますか?

NOSIGNER: 「OLIVE」は完成された美を必要としないプロジェクトでした。あれは目の前の混乱の中にいる人を助けるために立ち上げたものなので、完成されていなくても良かった。
美はカオスの中から、自然淘汰の過程を経て、長い時間をかけて近付いていくものです 。
だから、個人が深く追っていくことが美に近づくためのとても重要でした。
でも一方で、誰の中にもあるクリエイティビティを引き出し、誰もが参加できる場所を作るというデザインが大切になってきています。そうした周囲から拡大させるパートと、アウトプットとして美しいものをプロのクオリティで作り出せることの両方が大事なんだと思います。


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– これからはプロとしての職能のあり方や関係性も変わってくるでしょうね。

NOSIGNER: 僕は自分がおばあちゃん子だったこともあって、映画『サマーウォーズ』が大好きなんですが、あれは旧来の場所や社会に属するコミュニティの話ですよね。今は共感から繋がるコミュニティが強いけれど、一方で前者のコミュニティには多様性がある。電気屋のおじさん、漁師のおじさん、花札が強い女の子、天才プログラマー、そうしたバラバラの属性が集まったときに創発が起こります。僕は、これからのデザイナーはデザインの領域から外へ出て行かなきゃいけないと思っています。いま、僕らの属性はタグ化していて、クオリティが担保できれば領域は簡単に超えられる。そうした中で、自分たちの構造を見直し、解体していくことで、その環境がイノベーションを生み出すはずと信じています。


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– イノベーションを生む環境とはどのようなものだと思いますか?

NOSIGNER: 小さなチームで、たくさんのトライアルが出ることが重要です。そして様々な領域を、多様な存在が連携し合える生態系としてとらえていく必要があります。樹木は毎年数億という花粉を飛ばしますが、そのほとんどが実を結びません。何千年だって生きられるかもしれない樹々が、なぜそんなことをするのでしょうか? それは、たとえ何が起こっても種が存続するように、次の遺伝子との偶然の出会いに期待しているからなんです。多くの種は大地にたどり着かないかもしれないけれど、なるべく遠いところまで種を飛ばす。それは予測不可能なものへの期待です。



– そうした可能性を信じるなか、未だ日本に色濃く残る旧体制にはどう向き合おうと思っていますか?

NOSIGNER: オールドパラダイムをただ批判することは意味がないと思っています。それでも大きな仕組みと向き合わなければいけないときは、自ら世界に通用するレベルを獲得して、無視できないようにして、また具体的な解決策を見せることでしょうか。今の僕はまだ日本にいる意義を感じていますが、いつでも国外に出てしまっ ていい。それぞれが力を持って集まることで、声が届く範囲が広がっていくと思います。



– 「INFOBAR A01」のUIから見えてきた、太刀川さんのイノベーティブな思考。目の前にあるものを全てデザインととらえ、小さく世界を更新していこうとするクリエー ションの姿勢は、自由にUIをカスタマイズできる「INFOBAR A01」の世界と近いかもしれません。太刀川さん、ありがとうございました。




Works

OLIVE Exhibition
2011.10.8 (Sat) – 10(Mon) 「恵比寿文化祭2011~オープン、恵比寿!~」内のアートコンテンツ「SHARE」の企画として開催。
http://www.startebisu.jp/action2011/

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[TECHTILE #4]

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[WATERFUL]




Eisuke Tachikawa / NOSIGNER

「見えないものをつくる職業」という意味を持つデザイン事務所NOSIGNER代表。空間・プロダクト・グラフィックなど複数の領域を横断するデザインワークを行い、科学・教育・地場産業のデザインプロデュースなど、社会的意義を踏まえたデザイン活動を続けている。OLIVE PROJECT 代表。
http://www.nosigner.com/
OLIVE : http://www.olive-for.us/


About iida UI

インターフェイスのデザインとディレクションを担当したのは、卓越した表現力でWEB・モー ショングラフィックスの世界に革新をもたらしてきたWEBデザイナー、中村勇吾氏。縦スクロールでアイコンが整然と並ぶインターフェイスは、滑らかな操作 性とディテールにこだわった緻密なデザインで独自の質感を生んでいる。洗練されたデザインを楽しめる一方、アイコンのサイズや形を簡単に変えられるカスタ マイズ機能で、世界に一つのホーム画面を生み出せるのも魅力のひとつ。
http://iida.jp/products/infobar/interface/


About “INFOBAR + YOU”

「INFOBAR」のホーム画面が共有できるWebサービス。
ユーザーがカスタマイズしたさまざまなホーム画面を見られるほか、Facebookの機能を利用して気に入ったホーム画面に投票できる。
http://infobar.iida.jp/

 

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