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iida UI × Creator’s mind vol.1 – Interview with d.v.d 山口崇司

“INFOBAR + YOU”連動企画

© Ryosuke Kikuchi

Text by Arina Tsukada Photo by Ryosuke Kikuchi


プログラミング技術を駆使し、数々の先鋭的な映像表現を生み出す映像作家、山口崇司。 彼が構築する音と映像を同期させたインタラクティブな映像世界は、私たちの聴覚と視覚を同時に刺激し、恍惚的な身体感覚をもたらしてくれる。 この度、革新的なデザインと自由にカスタマイズできるユーザーインターフェイスが特徴の「INFOBAR A01」を使用してもらい、そこから垣間見えるクリエイターの創造の思考についてインタビューを行なった。


© Ryosuke Kikuchi


- まずは、このユーザーインタフェイスのコンセプトについて教えてください。

Takashi Yamaguchi: 殆ど思いつきに近いのですが、「HAL9000」です。スタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』に登場する、あのロボットですね。


- 「HAL9000」とは、点滅する赤いランプが特徴の、人工知能を搭載した架空のコンピューターですよね。

Takashi Yamaguchi: 初期設定から入っているたくさんのアプリを眺めていたとき、「赤外線通信」のアプリアイコンを見つけて、「HAL」っぽいなと感じて、この存在感だけをトップに抽出してみました。周りのグレーの部分は壁をカメラで撮影しただけの画像です。実は、よく見ると赤外線アプリの周りがぼんやり赤くなっているのですが、携帯のカメラ機能でフォーカスを合わせるために一瞬赤くなる瞬間を撮影して、アイコンの周りに置くことで、赤いランプが反射しているように見せているんです。



© Ryosuke Kikuchi


- コンセプチュアルなUIですね。キューブリックの映画には影響を受けているんですか?

Takashi Yamaguchi: そういう訳ではないんですけど(笑)。SF映画は好きで、最初の出会いである『ALIEN』から、中学生の頃に観た『BACK TO THE FUTURE 2』まで、当時における未来への想像力は非常にユーモラスで、とても興奮を覚えました。その後、『ターミネーター2』が公開されたのを観て、どんどんとコンピューターグラフィックスの世界に引き込まれていったんです。


- それから、すぐにCGの世界に入ったのですか?

Takashi Yamaguchi: 高校を卒業してすぐに、当時、CGが学べて、最も良質の機材が揃っていた岡山県立大学に入りました。そこでCGを学んでいたのですが、僕が大学4年の頃は、ICCがオープンしたり、デジタルメディアの研究者である前田ジョンさんやメディアアーティストの岩井俊雄さんらが活躍し始めていた時期だったんです。ほぼ同時期に「国際メディア研究財団」という研究機関が前田ジョンさんらを中心に設立されて、そこでプログラミングを学びました。ちょうど、最近の美大にあるような情報デザイン学科などが設立される前身で、「美術系の学生にプログラミングを教えてみる」という実験的な要素があったんだと思います。ところが、全く理系の要素がない学生にはなかなか辛かったようで、当時の授業プログラムで最後まで残っていたのは僕ともう一人だけでした(笑)。


- そこから映像とプログラミングによる融合表現が生まれたのですね。

Takashi Yamaguchi: どちらも面白いと感じていたので、卒業後はどちらの要素も活かせるゲーム会社に入社しました。ゲームの世界では、新しいテクノロジーを活用できる一方、映像の表現美も追求できるのが魅力だったんです。4年間ほど働いた後、フリーランスで制作するようになりました。


Interactive live- d.v.d (c) TAKASHI TANAKA

Interactive live- d.v.d (c) TAKASHI TANAKA


- ご自身のアーティスト活動、ドラムデュオと映像のトリオd.v.d について教えてください。

Takashi Yamaguchi: 旧来の友人だったメンバーのjimanicaとは、昔から何かやりたいとずっと話していて、音楽と映像でコラボした表現を考えていたんです。そこにitoken×jimanicaという形式での活動が合わさり、ドラムデュオと映像という不思議なコンビネーションが生まれました。ドラマーが二人になったことで、音と映像が同期する以上の不思議な広がりが生まれたんです。両端から響くドラムの音で映像が次々と変化することによって、観客はドラムを道具とした対戦ゲーム画面を観ているような感覚を受けます。 通常のインスタレーションにあるようなインタラクティブ作品はどうしても一方通行になりがちな印象だったのですが、 人間同士のライブのコミュニケーションがインタラクティブな表現となる面白さは、それまでにない発見でした。



© Ryosuke Kikuchi


- 緻密なプログラミングによって構成された表現が、感覚的な音と映像の体験に還元されていく面白さがあると思います。 山口さんのクリエーションのテーマはどこにあるのでしょうか?

Takashi Yamaguchi: 単に最先端のテクノロジーばかりを追うのではなく、ある程度使いこなされた技術をアイデアや組み合わせの妙によって見せていくことに興味があります。任天堂の伝説的なゲームクリエイター、横井軍平氏の哲学の中に「枯れた技術の水平思考」という言葉がありますが、それに近いですね。既に広く利用され、メリットやデメリットが検証された技術(枯れた技術)に、新たな使い道を考案する(水平思考)というものです。これはゲーム開発の技術検証にかかる費用のコストダウンのために用いられた考えでもあるのですが、表現においても同じことが言えます。d.v.d.にしても、音のMIDI信号で映像が変化する技術は、坂本龍一氏と岩井俊雄氏のライブなどでも既に行われていたのですが、ドラムデュオという人間同士のインタラクティブなやり取りによって新しい面白さが生まれました。特に変哲のない機能を組み合わせるという点では、今回のINFOBAR A01で作ったUIにも共通する部分があるかもしれないですね。また、映像とプログラミングの融合をひとつの楽曲のタイムシークエンスの中で見せていく演出が好きなので、音楽から受けるインスピレーションやアイデアを、今後もさまざまな映像作品にしていきたいと思っています。

- 山口さんがおっしゃられるクリエーションのテーマと自由にカスタマイズ出来るINFOBAR A01は一つの表現方法の形として相性が良いかもしれません。 「INFOBAR+YOU」では、様々なユーザーがカスタマイズしたホーム画面を見られるので、クリエーションのアイデアの片鱗が垣間見ることも出来るかもしれませんね。 今後のご活躍期待しています。



MV – やくしまるえつこ 「COSMOS VS ALIEN」 © みらいレコーズ + King Record Co.,Ltd. , 2010) Production: WOW

WebMovie – KOTORI 201 © FOSTEX COMPANY KOTORI OFFICE, 2010) Productions: IMG SRC/NON-GRID, WOW

interactive live – DE DE MOUSE + Takashi Yamaguchi (c) Takumi Yamamoto





Takashi Yamaguchi

プログラミングを絡めた映像、メディアアート制作、MV、ライブ映像制作等を行い、SIGGRAPHなどでのCG作品入選、「六本木クロッシング2007」への参加など、国内外で評価を得る。2006年よりツインドラム+インタラクティブ映像のオーディオ=ヴィジュアル・トリオ「d.v.d」を始動。Prix Ars Electronica 08 Honorary Mentionを受賞。2007年11月ファーストDVD+CD『01>01』発売、2010年4月にやくしまるえつこ(相対性理論、TUTU HELVETICA、ほか)とのユニット「やくしまるえつことd.v.d」でAlbum「Blu-Day」を発売。 http://www.takashiyamaguchi.com

About iida UI

インターフェイスのデザインとディレクションを担当したのは、卓越した表現力でWEB・モーショングラフィックスの世界に革新をもたらしてきたWEBデザイナー、中村勇吾氏。縦スクロールでアイコンが整然と並ぶインターフェイスは、滑らかな操作性とディテールにこだわった緻密なデザインで独自の質感を生んでいる。洗練されたデザインを楽しめる一方、アイコンのサイズや形を簡単に変えられるカスタマイズ機能で、世界に一つのホーム画面を生み出せるのも魅力のひとつ。 http://iida.jp/products/infobar/interface/

About “INFOBAR + YOU”

「INFOBAR」のホーム画面が共有できるWebサービス。 ユーザーがカスタマイズしたさまざまなホーム画面を見られるほか、Facebookの機能を利用して気に入ったホーム画面に投票できる。 http://infobar.iida.jp/

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