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部屋を庭にするただひとつの方法 Sun.16 2014

最小限の行使によって、最大限を獲得せよ。 (バックミンスター・フラー)

約500万年前、アフリカの森からサバンナへと旅立った勇敢な猿人達は後に「人類」と呼ばれることになりました。その更に遥か数百年前から、僕らのご先祖様達は計り知れない長い時間を森の中で植物に囲まれ暮らしてきました。だから僕らが自然から遠ざかることによって大きなストレスを感じるのは無理もありません。森から旅立った人類が大昔から抱え続けてきたホームシック問題は、現代でも相変わらずあらゆるメディアを賑わせています。

しかしたとえどんなに自然が恋しくとも、そのために森へ引き返すひとはいません。加速する都市化と悠久のホームシックとの狭間で苦しみ続けたご先祖様達は、知恵を絞りに絞ってついには「庭」という解決策を発明しました。庭は都市化の副産物として産声を上げ、都市において自然を知覚する唯一の手段として不動の地位を確固たるものとします。古今東西、都市あるところには必ず庭があってひとを慰めてきました。

僕はこれまで、仕事でも趣味でも沢山の植物に関わり沢山の庭を見てきました。言うに及ばず庭が大好きなので、国内外の知らない街に行くと必ず評判の良い庭に立ち寄ります。素敵な庭に出会うたび、庭をもっと身近に出来たらいいのになあと思うんです。とかく高尚になりがちな「庭」のハードルをもっと下げることが出来たらどんなに素敵なことだろうと。「庭が嫌いだ」というひとには未だかつて会ったことがありません。庭のハードルが下がれば、多くのひとにとって植物がもっと身近になるのかもしれません。

ではそもそもどこからどこまでを「庭」と呼ぶんでしょうか?バロック式庭園の様に壮大なものから、小さなものなら坪庭まで。枯山水ともなれば植物が殆ど無いことだってあります。里山はぎりぎり庭と呼べそうですが、大事に育てたひと鉢を愛でるためのベランダは庭と呼べないんでしょうか?21世紀の救世主との呼び声高き「庭」なんですがその実体は意外とはっきりしません。

規模の問題ではなさそうだし、植物の量もそんなに重要ではなさそうです。とはいえ未踏のジャングルでは勿論だめで、掘れば掘るほど境界が曖昧になって行きます。そこで僕は、やや大括りではありますが「庭とは自然と人為が調和した空間である」という仮説を立ててみることにしました。とりあえずそこが上手くいってない庭にお目にかかったことはありません。この仮説をもとにブレイクスルーを試みてみましょう。

特に一見重要に思える植物の量についても仮説を踏まえると揺らいでいきそうです。例えば間伐したり剪定したり掃除をしたり、自然の中に人が歩み寄ることはつまり植物の量を減らすことです。人為による余白あってこその庭なわけで緑視率100%では庭に成りえません。図と地の関係のように実は余白の方が重要だったみたいですね。やっぱり植物の量の問題ではなさそうです。

更にいうと、屋内か屋外なのかすらも問題ではないのかもしれません。つい屋外であることを前提にしてしまいがちですが、屋内庭園というのも歴然と存在します。都市において屋外に潤沢な空間を設けるのは非常にハードルが高いですが、家の中にまで拡張可能だとしたら庭はもっと身近になりますよね。ひょっとしたら僕らは家の中を見落としていたのかもしれません。むしろインドアにこそ大きな可能性がある様な気もしてきました。部屋は「庭」にならないんでしょうか?

「庭とは自然と人為が調和した空間」だとしたら、植物は屋内にあっても活き活きと自然な状態であればそれでいいのかもしれません。つまり「空間に植物を活ける」ことが庭の本質なのではないか。規模も量も場所だって全く関係のないところに「庭」は宿るのかもしれません。

では空間に植物を活けるとはどういうことなんでしょうか?前回のブログで、花を花瓶に活ける様に植物を鉢に活ける「いけばち」という概念を考えてみました。それは「もとからこうだったんではないか?」と思える必然性あるいは原形性が重要でした。同様に「もとからそこにあったのではないか?」と思える程に自然なことが重要なんでしょう。空間に植物を活けるには「そこに置く」のではなく「そこに植える」意識を大事にしてみましょう。

ようやくシンプルな答えが見えてきました。それはもう本当に当たり前なんですが 「愛でる」 ということが結局は一番大事なんだと僕は思います。こんな当たり前のことなんですが意外に出来ていないものです。僕だって空間の死角を埋めるためにとりあえず植物を置いたりしてしまいがちです。愛でるといっても方法は様々です。例えばまずは植物中心にインテリアを考えてみてください。思い切って空間の中心に置いてみるだけでもガラリと雰囲気は変わります。

それは必ずしもそんなに大掛かりでなくてもいいんです。今までより少しだけでいいから優先順位をあげてみてください。植物の意思を尊重し空間のなかで大事に扱ってあげることで自然に活き活きとしてきます。ただ単に沢山の植物を置くことだけが愛情ではありません。大切に愛でてあげるならば小さなひと鉢だけでも充分なんだと思います。

どんな植物も、たったひと鉢の植物だって充分な力を持っています。しかし慌ただしい日常に追われる僕らは、自然界の力を知覚するセンサーが弱っているのかもしれません。だから西洋の空間恐怖の様に画一な「緑」として植物を埋め尽くすことでしか充足を得られないのだとしたら残念なことです。広大な空間にその辺で適当に買ってきた植物をいっぱい並べてその世話すらも人任せ、そんな事をいくらやってもそこは「庭」になりません。しかしどんなに小さなリビングだって、ひと鉢を愛おしみながら育ててあげればそこは「庭」と呼べるのかもしれません。

20世紀を代表する偉大な科学者でありデザイナーでもあったバックミンスター・フラーは、最小で最大の価値を獲得することの重要性を説きました。繰り返しますが「活ける」とは価値の最大化に他なりません。花を花瓶に活ける様に植物を空間に活けることは、その空間をも活かすことに繋がるでしょう。そのたったひとつの小さな行為で、どこにでも誰にでも「庭」を作ることが出来たら素敵ですね。

http://twitter.com/n_kawahara

Making of HARBOUR CITY – TASTE FULL! Campaign Thu.30 2014

2012年の『Chocolate Trail 2012』にひき続き、香港最大の高級ショッピングモールHarbor City(海港城)の『HARBOUR CITY – TASTE FULL!』のフードキャンペーン広告を手掛けました。こちらは2013年秋に香港にてローンチされました。クリエイティブディレクションは前回と同じく香港のクリエイティブエージェンシーAllRightsReservedが手掛けています。

今回はそのキャンペーンのメイキングをレポートします。前回の『Chocolate Trail 2012』展示は、広告賞「エフィー(Effie)賞」のCHINAエリアにおいて、Real Estate(不動産)カテゴリーで銀賞を受賞しました。今回も前作に負けないビジュアルを目指します!

まず最初にテーブル間のお皿を浮遊させていきます。今回のビジュアルのビジュアルイメージはディズニー映画『ファンタジア』を意識しています。透明人間のウェイターが料理を運ぶディナーというイメージで、女性用・男性用・子供用の3つのテーブルをまたいだインスタレーションを構成していきます。

いつもの気心知れたメンバーで吊っていきます。皆職人の様に吊る作業の勘所を心得ており非常にやりやすいです。

細部にもストーリーを演出します。

ベースとなるセットもかなり大詰め。さまざまなプロップスの動きが入り組んでいます。

配置においては錯視を利用しており、ネックレスはとても手前に配置されていています。この画像を見ると、遠近感がバラバラに配置されているのが分かると思います。カメラから見た状態で初めて整合性がとれる騙し絵になっています。

インスタレーションで心がけているのは、ただ浮かすのではなく、アニメーションの演出の様に、動きを感じるか?重力を意識してるか?ダイナミックな動きは感じるか?演出し調整する事です。常にカメラから見た画角でジャッジし、ポジションを1cm単位で調整していきます。

だんだんテーブルからテーブルに繋がるストーリーが出来てきました。ここまでで丸2日の時間を要しています。海外の雑誌メディア等には彫刻的なインスタレーションという評価をされる事も多く、そのような視点で見られる事はとても嬉しいです。この表現手法は非常に地道で時間がかかる作業で、ここまで緻密な構成を仕上げてくれたスタッフの皆にいつもながら感謝します。

明日はいよいよ撮影です。

3日目撮影当日。次々手際良く、浮遊するお皿に料理を乗せているのはフードスタイリストの上村鮎美さん。おいしそうです!

料理自体もここでは細かな所まで世界観の役者となります。この撮影の為に焼いた高級素材!のローストビーフも本当に浮遊させています。

メイキング映像を撮影するAllRightsReservedチームfrom香港。この撮影のためにわざわざ香港より来日してくれました。AllRightsReservedは様々な仕事で日本のクリエイターと組む制作が多く、もう30回近く日本に来ているそうです。私達も何ども会っているので気心知れたチームです。同じ制作者同士というのは文化を超えて通じる部分が、何かがあるなぁと、海外チームとの制作をする時はいつも思います。

料理がのった状態でさらに最終調整。細かいプロップスも追加します。いつも最後の段階はテグスがカオス状態!

子供用の特大ハンバーガーもお皿にのりました。

完成! 3つのテーブルをまたいだ料理達の1つのストーリーが出来ました。

全体像はこちら。左右でループ構造になっています。

完成したビジュアルはこのように香港の様々な媒体でローンチされました。海外の仕事は最終アウトプットを写真でしか見る事がなかなかできないですが、香港の人々がどうみるか?やはり海外プロジェクトは現地で直に見てみたいなと…たまに思います。評判が良かったら良いなぁ!

 HARBOUR CITY – TASTE FULL! Campain
visual art work, installation by NAM
   art direction: Takayuki Nakazawa
   photographs: Hiroshi Manaka
   wardrobe : Atsushi Kimura
food styling : Ayumi Kamimura
props : Masato Kawai
creative direction: AllRightsReserved
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NAM BLOG n-a-m.org/blog

REN ACADEMY はじめました Tue.05 2013

フラワースクール REN Academy を開講しました。
花店として初めてグッドデザイン賞を受賞した、
RENならではのモダンジャパニーズデザインを学べるフラワーレッスンです。
全コースはREN代表の川原による直接指導レッスンです。
いけばなの独自解釈に基づいた理論で、日本的感性を現代の視点から分かり易く手解きいたします。
経験の有無を問わず、植物に興味をお持ちの方ならどなたでもお気軽にご参加ください。

有限という悦び Wed.18 2013

こんにちは.
日中はまだ暑い日が続いていますが,
少しずつ空気が秋めいてきました.
PLY. のすぐそばにある洗足池では,
水面のうえと木々の間を通り抜ける
気持ちの良い風を感じることができます.

さて,今日は8月から新しくリニューアルされたACTIVITY,
TOUCHのことと,その参加者の募集について書かせていただきたいと思います.

PLY. では主なプログラムをACTIVITYと呼んでいますが,
TOUCHはワークショップ形式のACTIVITYとして
オープン当初から行われてきたPLY.の軸となるACTIVITYです.

グラフィックデザインを生業とする私たちが,
その日々の経験と生活からヒントを得て
このACTIVITYはプログラムされています.

TOUCHの開催は月2回.
ご参加いただける方を定期的に募集しています.
スタジオの設備である活版印刷機や
組版(活版印刷に必要な版[活字]を原稿に従って並べること)
の道具を使い,デザインと印刷を実践的に行います.
プログラムは導入部となるTOUCH以外に,
さらなる理解を深めたいと考える人たちへ向けたOWN DESIGN,
そして継続的にデザインと活版印刷をされる方を支援する
OWN PROJECTの3段階で構成されています.

また活版印刷に留まらず,
スタジオ外でも生産と生活との接点を感じられる事柄に焦点をあてた
ACTIVITYを不定期で企画運営しています.

TOUCHのプログラムは
活版印刷のシステムの概要,
そしてそのシステムを前提として,
視覚表現の原理を加味した
コンポジション(平面構成)を考えながら
まず手作業でラフにおこしていきます.
つぎに実際に活字を触って組版を行います.
組版後は,カードに自身が構成したコンポジションを
印刷していただくことで,紙の上に定着させていきます.

TOUCHは作品を作る場ではありませんが,
それに続く,OWN DESIGN,OWN PROJECTに向けて
活版印刷と向き合う上での有効な視点を培うプログラムとして
位置づけられています.

 ー

活版印刷のシステムは有限性の上に成り立っており,
活字は拡張性を持ってはいますが,
物質的な縛りから解放された現代のDTPシステムに比べれば,
その拡張性もまた,資源的な拘束から逃れることはできません.

また活版印刷は昨今の印刷方法に比べて手間のかかる印刷方法といえます.
一方ですべての工程に人間の目が行き届く分,
技術がブラックボックスに覆われることがありません.
手間をひとつ省くことが,
自分の手からリアリティの欠片がひとつ
こぼれ落ちていくことに繋がることもあるのだと感じます.
印刷という分野に限らず,私たちの生活のなかでは
こういったことが数多く存在していると,
活版印刷は類推的視点として私たちに教えてくれます.

技術が一定の連続性の上で成り立っているという前提に立てば,
私たちは活版印刷の技術を辿ることで,
人の生産行為の根元に一歩近づけるかもしれません.

そして人的にも資源的にも有限であるということが
印刷やデザインに留まらず,生活のあらゆる面で
有効な視点を与えてくれるものだと私たちは信じています.

 ー

PLY. activity 10月・11月 参加者募集のお知らせ

2013年秋のレタープレス初心者向けのactivity,
“Touch the Letterpress Printing”への参加者募集をいたします.

参加ご希望の方は,申込ページよりご応募ください.
皆様のご応募をお待ちしております.


PLY.

「いけばち」のすすめ Mon.12 2013

花は野にあるように。(千利休)

今から約30年前、日本では「第一次観葉植物ブーム」が巻き起こっていました。バブル景気に沸き立つ最中、衣食住の欲求の階段を駆け上がったその先により良い暮らしの象徴として、植物が脚光を浴びることなりました。いわゆる「インドアグリーン」なる単語が生まれたのもこの頃です。しかしそのブームも長続きすることなく下火になり、バブル崩壊と共に綺麗さっぱり鎮火し、残ったものは疲弊した産地と花屋さんの在庫だけでした。

それから30年の時を経た現代は「第二次観葉植物ブーム」と後世に呼ばれることになるでしょう。近頃は書店を覗けばライフスタイル誌は勿論、女性誌に至るまで「植物特集」の見出しを目にしない日はありませんね。エコの追い風を受けた現代のあらゆるメディアにおいて、訴求の要であることは誰の目にも明らかです。

そんな最近の風潮をとても喜ばしく思うと同時に、またしてもブームとして流れいってしまう前にそれらが文化として定着し、当たり前のことになって欲しいと心から願っています。植物をファッション的に消費することを否定はしませんが、計画的陳腐化に飲み込まれないための自己防衛は必要です。つまり、日本人は植物リテラシーをもっと向上させる必要があると思うんです。

ブームが手伝ってここ数年で情報とインフラが急激に発達し、普通のものから変わったものまで幅広い種類の植物を入手することは誰もが簡単に出来る様になりました。しかしそれとは対照的に「扱い方」に関する情報は明らかに不足しています。そこで、どうやったらリテラシーが上がるのかを僕なりに考えてみたのが「植物の扱い方をお作法として確立してみようじゃないか」ということです。そして、その思考実験を多いに助けてくれたのは今回もまた「活ける」という思想でした。

今まで植物は「植える」ものであって「活ける」という考え方はありませんでした。お花を活けるという考えはあるのに、どうして植物を活けるという考えには至らなかったんでしょうか。いけばなの様に「観葉植物や多肉植物を活ける」とはどうゆうことなんだろうか? 花を花瓶に活ける様に、植物を鉢に活ける。そのお作法を「いけばち」と呼んでみることにしてみましょう。

繰り返し述べていますが「活ける」は限りなく「最適化」と同義です。そう考えると「活ける」はお花を水につけるという行為だけに特定されるものではなさそうですね。その対象を観葉植物や多肉植物まで広げてみると何が起こるんでしょうか?

もし今ここに、植物と鉢があり「それをそこに活けてください」と言われたら、ただポイッといれて終わりではなくあらゆることに慎重になるのではないでしょうか。「少し傾けた方がいい顔してるかも?」「こっちの向きの方が綺麗かな?」以前よりも少し解像度をあげて今まで気にしなかった些細なことにまで思いを巡らせることでしょう。

少し大袈裟かもしれませんが、ひとつのプロダクトをデザインするようなことだと思っています。「もとからこうだったのではないか?」と思える必然性を追求するんです。まずは、あたかもそこから生えて来たかのような器との調和を目指します。そこで拠り所になるのは自生地を思い浮かべることです。例えばその環境に良く似た素材感の器に据えることは、植物との調和における正攻法のひとつです。

そして次に、より自然らしい姿を目指すことです。あるがままを美化し何もしないことは簡単ですが、素材の良さを「活かした」とは言えません。あえて少し傾けてみたり僅かに剪定をすることでしか見えこない良さが、どの植物にも必ず潜んでいます。人の業が前に出過ぎず、植物がより自然らしくあるような最適な状態を思い描くこと、すると次第に収まるべき所が見えてきます。

「活ける」という響きに触れたとき、何か特別な敬意が心に沸き起こる筈です。行為はそれに従うままに任せればいい。そうした意識の集積によって不思議と細部が輝き、より活き活きとした佇まいを見つけることが出来るんです。花を花瓶に活ける様に、植物を鉢に活ける。そんな、植物の新しいお作法として「いけばち」をこれからも追求してみようと思います。

千利休は利休七則のなかで「花は野にあるように」と記しました。この言葉の奥深さは「あるがままに」ではなく「あるように」と言っているところです。つまり利休的植物哲学は「自然の再現」ではなく「自然の最適化」であると、僕は解釈しています。もし利休の生きた室町時代に観葉植物ブームが訪れていたら「いけばち」はもう存在していたのかもしれませんね。

http://twitter.com/n_kawahara

Making of Onitsuka Tiger_31 July 2012 – 4 July 2012 Sun.28 2013

世界的にブランド展開をしている日本が誇るスポーツブランド Onitsuka Tiger の2013年春夏グローバルキャンペーンビジュアルを担当いたしました。今回は昨年の2012年7月31日〜8月4日にかけて行われたその制作のメイキングの模様をお伝えします。キャンペーンビジュアルについてはこちらに HITSPAPER さんの記事が掲載されていますのでご覧になって下さい。

今回のビジュアルコンセプトである現代日本の3つのシーンを舞台にした3種類のキービジュアルを表現するため、日本の風景を再現した巨大セットを制作しました。この3つのシーンは実際に繋がってもいます。今回のプロジェクトは私達としては規模的に最大の全長17メートルのセットを制作する最もチャレンジングな制作になります。

続々と大型トラックで運ばれて来る美術セットのパーツ達。

テグスで吊る為のプロップスたち。これらはイメージにぴったり合うものを、ひとつひとつ私達自身で選び収集をしました。

3つのシーンの土台となるセットを組み上げていきます。

毎回NAM独特のテグスで吊り上げるセットアップを手伝ってくれている、おなじみの武蔵美+多摩美+日芸メンバー。今回は全長17メートルの巨大なセットの為、最強メンバー20数名が勢揃いしました。今回は5日間筑波のスタジオに泊まり込みです!テグスを使用して無重力を表現するセットアップにおいては、実は特別なテクニックは必要ありません。むしろ重力やストーリーが表現された理想の動きを感じさせるポジションになるまで、何ども調整を繰り返す、根気や熱意の方が重要となります。そういう意味で、彼らはこの手法のセットアップにおいては、経験値を含め恐らく日本で一番上手なんじゃないかな?って思っています。いつもどうもありがとうね。

ここでは下準備として、空中に浮くドーナツにはつや消しニスを塗って硬化させたり、プロップスにテグスを縛り付けていきます。

この撮影のためにEUからOnitsuka TigerのLisa Hoggさん、Aitziber Izzurateguiさん、広告代理店のBlast Radius-AmsterdamからクリエイティブディレクターのAndrew Watsonさん、制作進行のJizelle Bautistaさんも来日。美術に関してはプロップスの1点1点まで含めて確認作業をしてセットアップは進められます。セットの進行状況なども細かくEU側とスカイプで進行状況を確認しながら進めます。文化の違うユニバーサルな制作においては曖昧な点を残さず、なるべく言語化して相互確認することが潤滑な制作をする秘訣だと思います。

背景の空を描いていきます。初春の空らしい淡いブルーの空と、ほんのりと浮かぶ薄い雲とオーダーしました。イメージ通りの素晴らしい仕上がり!

メイキングビデオを撮影しているクリエイティブディレクターのAndrew Watsonさん。

Onitsuka TigerのLisaさん。全ての進行状況は日本に来られなかったスタッフともスカイプで共有します。

スタジオ内では春のセットを作ってますが、外は立っているだけで汗が出てくるほどの真夏の田園風景。

徐々にセットが組み上がっていきます。

陽が落ちても作業は進む。犬は吠えるがキャラバンは進みます。

公園シーンのハイライトとなる桜を植えていきます。

今回のビジュアルではプロップスのみならず、モデルもワイヤーで吊られ空を飛びます!そこでセットを先に全て完成させてしまうと障害物が多くなってしまい人物の飛行が困難になってしまうため先に人物の飛行ポジションを決めておき、スタジオ上部に設置されているバトンにあらかじめワイヤーをセッティングしておきます。

EU側の制作進行を担当したJizelleさん。彼女とは3ヶ月半以上前の段階から、日本とアムステルダム間で何どもスカイプやメールで企画を練り上げており、撮影のため来日した際には既に初めて会った気がしませんでした。文化の違いもあって大変だったと思うけど、調整どうもありがとう!

桜が舞う時間が止まったような瞬間もリアルに再現します。花びらひとつひとつを実際にテグスで吊っていきます。この力作シーンのセットアップ作業を中心になって担当してくれたのは、NAMの制作にもう10回近く!も参加してくれている武蔵野美術大学卒の古屋桃与さん。2年半前に制作した小林賢太郎さんのDVDパッケージ制作の時からのつきあいになります。チームNAMの四番!

完成した日本の街並シーンに浮遊プロップスを追加していきます。これらはカメラのレンズを通して見た時に、最も良いポジションになるように配置します。人物のスタンドインも入れて随時シャッターを押し、画像をモニターで見ながらセットアップする為、何ども微調整を重ねる根気の必要な作業です。

ちなみに、今回のセットの裏テーマは『サザエさん』。『サザエさん』に出て来る街並の表現は立体感が希薄でフラットです。欧米人は街並をフラットには捕らえないはずなので、浮世絵から続く平面的感覚をスチルビジュアルの方では強く意識し、日本的な表現として打ち出したいと思いました。逆にフィルムの方では、カメラポジションを多面的に動かし立体感を強調しています。

映像も制作するので、細部まで演出します。蝶が花に止まっている様も再現!

コーヒーがこぼれ落ちる瞬間も再現!

ほとんど映らない細部も無重力に。

細部にもOnituka Tigerグッズが配置されています。これは欧州限定のOnituka Tigerマガジンの特装ケース。

日本のデザイン事務所というコンセプトの屋内シーン。ここではNAMのスタジオというイメージで制作しました。壁にはNAMのBOOKFACEポスターを配置。隣の公園シーンから吹いて来る春一番の風が、スタジオ内を吹きぬけて次の街並シーンに繋がるストーリーを念頭に置きながら、プロップスの浮遊を演出していきます。この浮遊物の演出は、アニメーションの動きを演出する作画作業に似ている気がします。アニメーションの監督と同様に動きの指示をして、プロップスの動きを自然にフワッと浮く感じが出るまでひとつの物に対し数人がかりで、テグスを動かして調整して配置します。

ここで4日間におよぶセット制作はとりあえず完成!

人物のワイヤーテスト。スタンドイン担当はGunsRockの津本さん。

浮遊する全てのワイヤーアクションに対し、スタンドインを入れてチェックします。これは、人物とプロップスの絡みも上手くいっているかのチェックも兼ねています。人物が実際に入ると見え方がかなり違うため、往々にして微調整が入ります。時には全体を大きく直す場合もあります。

Onitsuka TigerのAitziberさん。

完成したセットにモデルも入ってもらい、今ビジュアル最大の見せ場=ワイヤーアクションの飛行テストをします。

映像担当の志賀匠監督(右)とムービーカメラの中原昌哉さん(左)。志賀監督の映像センスは素晴らしかったです。NAMの世界観とも、ぴったりでした!

街並シーンの撮影風景。ワイヤーアクションを使用しての徐々に浮遊していく光景は、本当に空を飛んでる様な錯覚がします。時間は止まって見えるのに、人物は飛んで時間が流れる不思議な空間。

続いて室内シーンの撮影風景。Annieさんはふとするとワイヤーの存在を忘れるくらい、自然にセット内を飛び回っていました!「魔女の宅急便」のワンシーンかと錯覚する様な素晴らしい浮遊演技。

最後の公園シーンの撮影。桜の花びらが舞う中を人物が飛ぶシーンです。プロップスが重力から解き放たれる瞬間を表現したセット内を、さらに人物が実際に飛ぶシーンを入れ込んだ撮影は、いままで見た事がありそうで見たことのない世界観になったのではないかと思います。この合成無しの浮遊の様子は特にCampaign Filmにいかんなく発揮されていますので、是非ご覧になって下さい。

昼夜を問わず計5日間をかけて、恐らくトータルで50人近くのスタッフが関わった制作も無事終了。今回、渾身を込めて日本で制作がおこなわれた日本を舞台にするビジュアルが世界で展開される事を誇りに思います。この場をお借りして、全ての関係者、スタッフの皆さんに最大の感謝をいたします。

Onitsuka Tiger SS13 Global Campaign – Craft of Movement
企画制作=Blast Radius CD=Andrew Watson(Blast Radius) Set Design+Installation=NAM AD=中沢貴之 P=間仲 宇 ST=木村厚志 HM=茅根裕己 Pr=中村悟(GunsRock) Production Manager=津本栄憲(GunsRock) 照明=森寺テツ Production Designer=中澤修平  Photo Treatment=櫻井喜明 Models=Annie(AMAZONE)・三河井 武史(donna)・安田慎吾(B-Tokyo)・Alexandre P セットアップアシスタント=山野浩二、松藤泰史、古屋桃与、道山侑葵、鈴木萌乃、楊愛美、安田葉、岩元 萌、小谷野 五王、山岡美緒、中村有友子、高橋昌子、町山百合香、太田沙絵、濱口拡美、朝倉祐三子、草場雄介
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Onitsuka Tiger SS13 Campaign Film
企画制作=Blast Radius CD=Andrew Watson(Blast Radius) Set Design+Installation=NAM AD=中沢貴之 D=志賀 匠 Camera=中原昌哉 ST=木村厚志 HM=茅根裕己 Pr=中村悟(GunsRock) Production Manager=津本栄憲(GunsRock) 音楽=Star Athlete 照明=森寺テツ Production Designer=中澤修平

 

Onitsuka Tiger onitsukatiger.com
Blast Radius blastradius.com
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NAM n-a-m.org
NAM BLOG n-a-m.org/blog

BRAND NEW LOOK Tue.30 2013

こんにちは,PLY. です.

日に日にあたたかくなって
活動的に動き回りたい季節になってきました.

PLY. のACTIVITYもこの季節になると,
日中さわやかな光が差し込み
創作に没頭するみなさんを美しく照らしだす
とてもよい季節です.

そんなよい季節にPLY. を気持よく利用していただけるように,
PLY. のwebsiteをあたらしくしました.

ACTIVITYに参加してくださった
たくさんの方々の制作物を目の前にして
改めて私たちにとってACTIVITYの存在の大きさを実感しました.

websiteもその軸となるACTIVITYを
中心とした構成にする必要があると感じ,
今回のリニューアルとなりました.

PLY. からのお知らせはPOSTページでご覧いただけます.
内容の充実を図るために,
従来配信していたNewsletterは一旦お休みとさせていただき,
今後は本サイトPOSTページ,hitspaper blog,Twitter, Facebookにて
たくさんのメッセージがお伝えできればと思っています.

微力な私たちですが,引き続きどうぞよろしくお願い致します.

PLY. \ our selfservice
www.pppply.com

“Life Stripe” exhibition by SPREAD at Milano Fri.12 2013

Ciao! はじめてのエントリーをイタリア-ミラノのから行っています。
クリエイティブユニット「SPREAD(スプレッド)」の小林弘和と山田春奈です。

私たちはポスターやCDジャケット、ロゴマークのグラフィック、
ストールブランドのテキスタイルデザインなどのクリエイティブを行っています。
ここでは私たち2人が普段考えていることや最終アウトプットにいたるまでの過程をエントリーします。

今ミラノに来ているのは、ちょうど昨夜からオープンした展覧会のため。
2005年より、生物の一日の生活をストライプ模様で表現する作品「Life Stripe」を制作し発表しています。
昨年ミラノのギャラリーではじめての海外個展を行い、2回目のミラノでの展覧会です。

ミラノでは今ちょうどMilan Design Week、ミラノサローネの真っ最中。
デザインのイベントとしては最大級のもので世界中から沢山の人がミラノに集まっています。
私たちも展覧会の合間をぬってこれから様々な展覧会、展示会を観る予定です。 

まだ始まったばかりですが、会場には様々な人が訪れます。
昨日はイランの画家と色について熱烈に語り痛いほどの握手、今ほどはドイツの方がこれまでにない感想を話してくれました。
昨日も今日もイタリアの方は総じて色について敏感で熱情的。
人は皆、それぞれ別の個人の存在であって、その違いこそが世界の素晴らしさ!なんて思います。

それではまずはここミラノから、エントリーしていきますね。
これからよろしくお願いします。

SPREAD

Life Stripe milan 2013 01

 
“Life Stripe” SPREAD
Period: April 16th(Tue), 2013 to April 20th (Sat), 2013
April 10th(Tue) 18:30-21:00, April 11th(Wed) to April 14th (Sun) 12:00-21:00, April 16th(Tue) to April 20th (Sat) 10:00-19:00
Venue: Chie Art Gallery (http://www.chieartgallery.com) Address: Viale Premuda, 27 Milano Tel: 02 36601429
Reception: April 10th (Tue) , 16th(Tue) 18:30-
“Life Stripe” Website: http://www.lifestripe.com SPREAD Website: http://www.spread-web.jp

 

Ohmine Bar 05 @ SUNDAY ISSUE Tue.26 2013

 

『3/1(金)、第5回目のOhmine Barオープン!』

Ohmineファンならどなたでも入場可能です. 皆様の来場を心よりお待ちしております。

■ 開催日/3月1日(金) 18:30-22:30

■ 場所/SUNDAY ISSUE (東京都渋谷区1-17-1 美竹野村ビル2F)

■ エントランス/¥1,500(オオミネ・ジュンマイ100ml+日本酒に合う軽食付き)

■ Facebook/http://www.facebook.com/events/492068734184766/

2013年2月23日 (土)〜3月3日(日)で開催される、様々な陶芸家たちの作品展「SUNDAY SELECT MARKET Vol.04 Ceramics Fair」の期間内に一夜だけOhmine Barが出現。定番のOhmine Junmaiはもちろんのこと、当日限りのスペシャルなお酒も登場予定!また「SUNDAY SELECT MARKET Vol.04 Ceramics Fair」にて展示中の陶芸作家に作ってもらったお好きな「おちょこ」で試飲いただけます。

■ Ohmine Bar アメリカのポップスター、フランク・シナトラは言った「アルコールは人間にとって最悪の敵かもしれない。しかし聖書には敵を愛せよと書いてある」 どの時代もお酒にまつわる名言(迷言)は多い。どうにか酒場に足を延ばす口実を見つけてはその魅力に酔いしれ、酒場で起こる多くの出来事や出逢いを大切にした。大嶺酒造ではそんな原点をみつけていくような場所として出張喫茶ならぬ神出鬼没の出張酒場「Ohmine Bar」を提案。日本酒を媒介とした空間、コミュニケーションを新たな形で創造する。毎回、思考を紐解くトークショーや作品展示、時にはライブや歌を、そんな一夜限りのさまざまな出来事が起こり、多くの出会いが生まれていく場所を目指します。

■ Ohmine Shuzou 3億年もの歴史を持つ神秘の地「秋吉台」、東洋一の鍾乳洞「秋芳洞」を擁する山口県美祢市大嶺。雄大な自然が残るこの地で世界にプレミアムSAKE「Ohmine」を発信すべく、大嶺酒造は半世紀の休止期間を経て、2010年に復活した。原料は契約農家とともに作った最高級酒米「山田錦」、仕込み水は神様の水として知られる「弁天池の水」。地元の恵みを熟練の技で醸した日本酒「Ohmine」は、白桃の様な香りと甘さの口当たりが特徴。ミシュラン3つ星レストランや様々なブランドのパーティなどで、その芳醇さが評判となり、生まれ変わって間もなくニューヨークや香港など、世界6か国で展開されるように。遂にはスイスで開かれた「ダボス会議2013」での日本政府主催の晩さん会にて各国首脳に振る舞われ、世界でも要注目の銘柄となっている。

www.ohmine.jp/

Spring is coming soon! Tue.12 2013

こんにちは,PLY. です.
PLY. の近くにある洗足池は渡り鳥が飛来して,
さまざまな鳥を見ることができます.

中でもキンクロハジロという
黄色に目に,黒い羽を持つ鳥は体が小さいながらも,
洗足池では存在感をしめしています.

さて,PLY. では毎月activityという
レタープレスのワークショップを行っています.
春のactivity,3・4月の募集を開始いたしました.
ご参加お待ちしております.

PLY.
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