
上記はEric Fischerのある都市の地元住人と旅行者の活動範囲をビジュアライズした作品「LOCALS vs TOURISTS」。
青が、LOCALS(地元住人)、赤がTOURISTS(旅行者)。

こんばんは。
HITSPAPERの佐々木です。
最近、夜中の1時過ぎに帰る生活を続けていて、布団に入るのが、2〜3時頃、そこから読書をするのですが、どうも瞼が重くて言う事を聴いてくれない。1ページ読んでは額に本を落とし、目が覚めて、また、落とすの繰り返しで全く読書が進みません。
そんな知識のインプットが少ない状況でも、偶発的な出会いによってインスピレーションを得ることもあります。今日はそんなシンクロニシティのお話をしたいと思います。
人体と地球のフラクタル構造を知る
エリック・フィッシャー(Eric Fischer)という写真家をご存知でしょうか?
都市を中心に作品を撮り続ける写真家で、彼の作品を見たのは、かれこれ1年くらい前だったと思います。その作品中にマッピング・シリーズという都市空間の移動状況(モビリティ)や人口(ポピュレーション)を視覚化するという実験的な写真があり、当初は単純に視点が面白いなと感じていたくらいの印象だったのですが、最近意味のある偶然の一致をこの作品から感じています。
その作品は、彼のマッピング・シリーズ中の「LOCALS vs TOURISTS」という冒頭で掲載している画像です。地元住人と旅行者のモビリティやポピュレーションをマッピングし視覚化したものなのですが、何に見えましたか?
まず、モビリティを含め多くの中心的機能が少数の地点に集中し、そのサービスは多くの人間に到達する設計(所謂、中心地理論)が成されている事実に気が付くと思いますが、この中心地理論は既に研究されている事ですし、専門家の方にお任せするとして、HITSPAPER的視点、前回のコラムでも取り上げた、ゲーテ的な視点をここで採り入れてみたいと思います。
ゲーテの視点を借りて、この作品をつぶさに観察するのなら、僕にはこのマッピングが血管を模しているように見えます。
僕らの体内の血管構造と、俯瞰して地球を眺めた都市という大きな地球の体内でも、同じような(※1)自己相似性(フラクタル)が起こっているように見えませんか。
血管はフラクタル構造をしていて、体内の血管体積をよりミニマムにする(管は体内のリソースとして小さい方が望ましい。逆に酸素などのガス交換の為に表面積は大きくなる)という非常に合理的な目的によって幾何学構造が産み出されています。
また、一方、都市空間も人間の利便性にプライオリティを置き、合理的な解釈で都市計画が進みます(少なくとも理想では)。
このように人体の血管構造と、都市構造は、その合理性から産み出されている事では一致するし、人類の進化によって構築されて来た体内構造と、都市構造が意図せず合致するのは面白い事だと思います。
交通機関が管だとすれば、僕ら自身が血液やそれに含蓄されるガス(情報やサービスを運ぶ存在)だと言えるかもしれない。
余分なものは排出されるし、栄養素が高いもの、必要不可欠なものは何らかの形で体内を循環する。
循環しなければ、病気となり機能不全ないしは死に至る事もある。
これは、僕らの社会でも成り立つ方程式なのではないだろうかと思う。
※1 フラクタルとは: 図形の部分と全体が自己相似になっているもの。例えば海岸線や葉脈と樹木全体の形状など。
段階も大きさも異なる二つの項から
同型(イソモルフ)を成立させること

上記は人体の血管画像
「LOCALS vs TOURISTS」は、自己相似性(フラクタル)が、この世界に大小こそあれど、至るところに散らばっていて、その一例を指し示しているに過ぎません。
科学・テクノロジーが進化すればこうした自己相似性は限りなく顕在化してくる筈です。
さて、大事な事は、この自己相似性(フラクタル)から僕らが何を学ぶかという事です。
現代では、先進国や発展途上国、後進国、人種、宗教、男女、戦争対立国など数え切れない程、段階や問題の大きさも異なる項が存在します。
そして、それぞれが自らの中に正義を持って行動している。
これらの段階も大きさも異なる問題を解決する方法としてこのフラクタル構造からヒントはないだろうか?
僕が今、提示するとしたら「二つの異なる対象物から同型(イソモルフ)をいかに成立させるか。」がキーになるのではと感じています。
例えば、それは、親と子、教育者と学生の関係に於いて、一方的な学びがない構造と似ていて、学び方、学ぶ事は違えど、守離破を様々な領域で繰り返すように各々、人生・歴史の段階で探求する構造は似ているのではないでしょうか。
ここで、共通項をいかにして探し出し、編集をして、サステナブルな新しいシステム(組織、環境、キャッシュフロー)を組むかは大切なデザインのお仕事です。
謂うまでもなく、前回のコラムでのグラデーション上の横断は、この二つの項に対して同型(イソモルフ)を見い出す事が出来なければ成立せず、右往左往するだけになってしまいます。
この同型(イソモルフ)を探すことはなかなか難しい作業ですが、この共通項を見つけ出す事で、片方のボトルネックとなっている問題を、巧く循環しているもう片方のロールモデルから摸倣して簡単に問題解決する事が可能かもしれないし、より人に寄るのであれば、苦しみを理解する手助けが出来るかもしれません。
世界に眠る同型(イソモルフ)。
その鍵を見つけるのは、至るところにある偶然性の一致=シンクロニシティ(共時性)を見逃さない事です。
その観察眼を持って初めて、新たなスタート地点に立つんじゃないでしょうか。
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Editor
Arata Sasaki / 佐々木新
アパレルデザイナーを経て、2006年より独立し、2007年にデザインスタジオ「KOTENHITS」を河田孝志と共に立ち上げ、同時にクリエイティブ・ポータルサイト「HITSPAPER」を創刊させる。また、同年クリエイティブカンファレンス「HIGH5」も主宰。
2008 年にウェブ媒体及びイベントオーガナイズ・アーティストキュレーションに特化したクリエイティブスタジオ「HITSME」を立ち上げ、現在では、クリエイ ティブディレクションやイベントオーガナイズ、アーティストキュレーションを行っている。また、あらゆるジャンル・業態のメルトダウンを目指すエディケー ションイベント「NIT」やデザインカンファレンス「HIGH5」などオリジナルイベントも企画・主催する。
twitter: @arata_hits
HITSPAPER: www.antenna7.com/
KOTENHITS: www.kotenhits.com/
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Arata Sasaki / 佐々木新
アパレルデザイナーを経て、2006年より独立し、2007年にデザインスタジオ「KOTENHITS」を河田孝志と共に立ち上げ、同時にクリエイティブ・ポータルサイト「HITSPAPER」を創刊させる。また、同年クリエイティブカンファレンス「HIGH5」も主宰。
2008 年にウェブ媒体及びイベントオーガナイズ・アーティストキュレーションに特化したクリエイティブスタジオ「HITSME」を立ち上げ、現在では、クリエイ ティブディレクションやイベントオーガナイズ、アーティストキュレーションを行っている。また、あらゆるジャンル・業態のメルトダウンを目指すエディケー ションイベント「NIT」やデザインカンファレンス「HIGH5」などオリジナルイベントも企画・主催する。
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