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Idle Beats

idlebeats1.jpgIdle BeatsのNini Sum氏による「Eye Wonder」。花の部分は、マットゴールドにプリントされている。詳細はこちら



南京出身のNini Sumとドイツ・ドレスデン出身のGregor Koertingによる「Idle Beats」は、上海の静安区を拠点にするシルクスクリーン・スタジオ。ハンドメイドのオリジナル作品を制作し、100元から300元程度(約1,300 円~3,800円)という手頃な価格で販売する以外に、誰もが気軽に参加できるイベントを仲間たちと開催し、上海のクリエイティブ・シーンの活性化に努め ている。スタジオで活動中の彼らにお話をうかがいながら、素晴らしい作品の数々をご紹介して頂いた。


- 自己紹介をお願い致します。

Gregor Koerting: 僕達は二人ともイラストレーターとして、バンドやブランドの作品を制作しています。また、シルクスクリーン・スタジオ「Idle Beats」としても活動し、ポスター、アートプリント、Tシャツなどのアートプロダクトを制作しています。

idlebeats2.jpgNini Sum氏によるポスター「A Masterpiece」(左)と、北京のTwoqeeデザインによるポスター「The Baby Snatchers」(右)。



- お二人はどのように出会ったのですか?

Nini Sum: 元々、Idle Beatsは私が自宅の寝室で作品を制作する一人きりのプロジェクトとして2009年にスタートしました。ある時、友人の紹介でスタジオを持つことになっ たので、誰でも参加できるワークショップを開催するために「City Weekend」や「Time Out上海」といったローカル誌に広告を掲載したところ、上海でシルクスクリーン・スタジオを探していたGregorがそれを見てワークショップにやって 来たのです。ワークショップで知り合った私たちは、お互いにシルクスクリーンに対する熱い情熱を持っていることを知り、二人でIdle Beatsとして活動するようになりました。



- Idle Beatsのコンセプトについて教えてください。

Nini Sum: 中国のアートシーンは、美術館にある絵画やインスタレーションのように、誰も買えないような非常に高価なハイエンドなものと、大量生産される安価なポス ターのように非常にローエンドなものの二種類に明確に分かれています。そこで、気軽に購入できる価格帯のオリジナル・アート作品を作りたいと思ったのが きっかけです。



- お二人は、3月に北京と上海で開催された音楽とアートの祭典「JUE Festival」の「Maybe Mars Shanghai Showcase」用ポスターのような音楽系の作品を数多く手掛けていらっしゃいますね。

Gregor Koerting: 60年頃からアメリカのインディーズの音楽シーンでは、商品として販売できるバンドやライブのポスターを制作する動きがありました。人々はライブの思い出 にポスターを買い、自宅の壁に貼ったりしていたものです。しかし、今では欧米ですらそのようなことをする人はごく僅かになってしまいましたから、当然、中 国ではそんなことを知る人は殆どいません。そのことが「この地でポスターを作りたい」という僕達の情熱に変わっていったのだと思います。最近は、イベント のプロモーターからの依頼で作品を制作することもあれば、好きなバンドに自分達からコンタクトして制作することもあります。

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Asia Creative Spotでも取り上げた、音楽とアートの祭典「JUE Festival」から、人気レーベル「Maybe Mars」のショーケース用のポスター(左:デザインはNini Sum)と、2010年8月にライブハウス育音堂で行われたSub Pop所属のエレクトロデュオ「Handsome Furs」のポスター(右:デザインはGregor Koerting)。



JUE Festival開催中、Idle Beatsは上海のクリエイティブ・エージェンシー「Neocha EDGE」と共にシルクスクリーンのワークショップも開催した。

idlebeats4.jpg上海のアンダーグラウンド・シーンで人気のクラブShelterのイベント「Sub-culture」のポスター(デザインはNini Sum)。



- Idle Beatsの作品をいくつかご紹介して頂けますか?

Nini Sum: この「Rabbit year in Shanghai」という作品は、今年の干支である卯年を祝って制作しました。私が毎日通る道と本物のご近所の人達をモデルにした上海の日常を描いたもの で、ご近所の人達には写真を撮らせてもらい、それを絵におこし、彼らが犬や猫の代わりにウサギを飼っているようなシーンを描きました。

idlebeats5.jpgNini Sum氏による「Rabbit year in Shanghai」のオリジナル・バージョン。



Nini Sum: このポスターを制作した時、世界のポスターを紹介する「OMG POSTERS」 というブログでアジアのアーティストとして初めてフィーチャーされたのですが、非常に大きな反響があり、最初のバージョンとして刷った56枚はたった1週 間で完売してしまいました。しかし、その後も沢山の問い合わせを頂いたため、「最初のバージョンとは違う時間を感じられるバージョンを作ろう」という話に なり、Gregorがカラーリングを担当した5色のサンセット・バージョンが完成しました。私は私個人だけで制作した3色のオリジナル・バージョンより も、Idle Beatsの作品であるこのサンセット・バージョンの方をとても気に入っているんです。

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Nini SumとGregor Koertingによる「Rabbit year in Shanghai」のサンセット・バージョンは約3,800円で現在も販売中。詳細はこちら



Gregor Koerting: もうひとつの作品は、1月に開催したIdle Beatsのオープンス・タジオ・デー用のポスターです。雲の中にそびえるクリスタルの城を描いているのですが、色の感じもとても気に入っています。この 時のオープン・デーは、今のスタジオに越して来てまだ間もない頃でしたから、友人達を大勢招待し、過去半年の作品を展示販売しながら、みんなとお酒を飲 み、楽しい時間を過ごすことができました。

idlebeats7.jpg2011年1月に開催されたIdle Beatsのオープンス・タジオ・デー用のポスター。Gregor氏がデザインを担当。サイケデリックな色の組み合わせを得意とする彼のことを、Niniは「キング・オブ・サイケデリック」と呼ぶ。こちらも現在販売中



- オープン・スタジオ・デーはどのくらい頻繁に開催されるのですか?

Nini Sum: 3月か4月に一回とクリスマス前に一回の、年二回ですね。第一回目のオープン・スタジオ・デーには本当に沢山の人が集まってくれて、作品は全て売り切れて しまいました。ゲストの中には初対面の人もいるので、オープン・スタジオ・デーは新たな作品制作のきっかけにもなる素晴らしい機会なんです。

idlebeats8.jpgIdle Beatsのスタジオの様子。過去の作品の数々が壁に飾られた居心地のよい空間。



- Idle Beatsのウェブサイトには他のアーティストの作品も掲載されていますが、彼らとはコラボレーションを行っているのでしょうか?

Nini Sum: そうですね。Idle Beatsはアーティスト達のプラットフォームになることも目指しています。素晴らしいアーティストとは私達のスタジオで一緒にポスターを制作することも ありますから、日本のアーティストでコラボレーションに興味がある方がいれば、ぜひご連絡を頂きたいです。



- Idle Beatsが参加したイベントの動画をいくつか拝見したのですが、そのひとつにはAsia Creative Spotでも取り上げた北京のコミック・コレクティブのCult Youthも参加していましたね。

Nini Sum: あのイベントは、会場となった「Source」、クリエイティブ・エージェンシーの「Neocha EDGE」、スケートボーディング・ブランドの「Volcom」と一緒に上海と北京で開催したイベントで、私自身の他に、Youth CultureのChairman Ca、ロンドンで結成されて現在は上海で活動するクリエイティブスタジオのJellymonなど様々なアーティストが参加しました。各アーティストは、事前に用意したオリジナル・イメージ1点を使って会場で実際に作品を印刷してみせ、来場者にも制作を体験する機会を提供し、作品を持ち帰ってもらうようにしました。



2010年7月に上海のSourceで開催されたスクリーン・プリントのワークショップの様子。



 - Idle BeatsとNeochaは一緒にイベントを開催するだけでなく、今では同じ建物の同じ階をシェアする隣人同士でもありますが、現在の場所に移る以前からお知り合いだったのですか?

Nini Sum: Idle Beatsを始める前から彼らのことは知っていましたよ。EDGE Creative Collective(ECC)のメンバーとして、彼らと一緒に仕事をしたこともあります。上海では、クリエイティブ・シーンもビジネスの世界も非常に狭 くて、何かを始める人達はいつも同じ顔ぶれです。上海は国際色豊かな小さな村のようで、誰もが知り合いなんですよ。



- 上海では素晴らしいアーティストを見つけるのがとても難しいというお話をいつも耳にしますが、そのようにシーンが少人数で確立されてしまっているからなのでしょうか?

Nini Sum: アンダーグラウンドなアーティストは大勢存在しますが、彼らの多くが制作に費やす時間を確保することができません。上海は中国の他の都市に比べて物価が高 いため、誰もが生活を維持するための他の仕事に時間を取られてしまうのです。ですから、先程のような様々なイベントを開催して、アートに触れる機会と人に 知り合う機会の両方を人々に提供しています。


idlebeats9.jpgIdle Beatsはイベント開催の他に、スクリーン・プリントのチュートリアルなども行っている。
idlebeats10.jpgこちらはワークショップの様子。



- 最後に、お二人が上海でインスピレーションを受ける場所を教えてください。

Gregor Koerting: 僕の場合はこのスタジオですね(笑)。あとは、上海という街全体のスピリットにインスピレーションを受けています。

Nini Sum: 私 たちのスタジオがある静安区のChangle Rd.には、クリエイティブな人が大勢いるので、道でバッタリ友人に会うことが非常に多いんです。こんな雰囲気が得られるところは、おそらく中国では他に 存在しないでしょう。ほかには、月に一度、The Shelterというクラブで開催されるイベントで自作のポスターを販売しながら、友人達とお喋りをする時間もとても楽しいですね。

idlebeats11.jpgIdle BeatsのGregor Koerting氏(左)とNini Sum氏(右)。






Idle Beats

2009 年に南京出身のNini Sumが始めた上海ベースのシルクスクリーン・スタジオ。現在はドイツ出身のGregor Koertingもメンバーとなり、二人で活動している。オリジナル作品の制作・販売だけでなく、クリエイティブ・エージェンシーのNeochaEDGE とイベントを開催するなど、上海のクリエイティブ・シーンに常に刺激を与え続けている。

www.idlebeats.com/



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