フランス出身の[Charles Lanceplaine] が刺激を求めて上海にやって来たのは、大学を卒業したばかりの2007年。当初は6ヶ月の滞在を予定していたが、それはいつの間にか3年の海外生活へと変 わっていた。「欧米にはないものがここにはまだ残っている。」と語る彼は、趣味の映像編集がきっかけで、昨年、上海のスケーターシーンをドキュメンタリー 化した「Shanghai Five」を制作。年内にウェブ上で公開することとなった。Lanceplaine監督を魅了してやまない上海のスケーターシーンとは、一体どのようなも のなのだろう。
なぜ上海のスケーターシーンを映像化しようと思われたのですか?
Charles Lanceplaine: 今まで見た映像作品の中で、中国に行きたいと思わせるようなものと僕自身が出会ったことがなかったからさ。中国のシーンを題材にした作品はあったけれど、 欧米のスケーターが中国のどこかで滑っているだけで、地元のスケーター達が映っていることはめったになかった。僕は、中国のスケーターシーンがもっと世界 に知られるべきだと思っていたし、上海や中国という土地に新たなイメージを作りたかった。中国が話題にのぼる時は、人権問題や経済成長の話ばかりだから ね。
日本では上海のスケーターシーンについて、まず耳にすることがありません。今、現地のシーンには何が起こっているのでしょうか?
Charles Lanceplaine: とにかくものすごい速さで進化している。僕が上海に来てからのたった3年の間でも、その変化を手に取るように感じるんだ。多くの企業が関わるようになっ て、プロとして生計を立てられる地元の子達も増えてきた。僕がここまで夢中になっているのは、このシーンが誕生してまだ間もなくて、色々な可能性を秘めて いるから。上海の街自体が大きなスケートパークのようで、毎週新しいスケートスポットを見つけることもできる。欧米じゃもうそうはいかない。殆どの街が開 発されてしまっているからね。
上海のスケーターコミュニティはどのようなものでしょうか?
Charles Lanceplaine: どんどん大きくなっていると言えるだろうね。3年前は今よりも若い外国人スケーターが多かった。でも、彼らの殆どは学生か駐在員の子供だったから、経済危 機の後に上海から出て行ってしまった。今も外国人スケーターはいるし、インターナショナルな環境ではあるけれど、最近は中国人の子達が増えてきている。中 には女の子もいて、このシーンの未来を考えると良い傾向だと思うよ。地元のスケーターの殆どは上海出身だけれど、それは中国の人々にとって上海の居住許可 を取得するのがかなり困難だから。スケーターの年齢層は13歳から33歳くらいで、今は三世代で構成されている。一番下の層は13から16、次が20代、 その次が20代後半から30代。高校生もいれば、工場で働く者、スケーターとして生活できている者もいる。
地元の皆さんが特に気に入っているスポットをひとつ教えて頂けますか?
Charles Lanceplaine: 皆が大好きなのはラブ・パーク。いや、皆が好きな訳じゃないかもしれないけれど、皆が行く場所で仲間に会えるのがこの場所、と言うべきかな。人民公園の近 くで、いつ滑っても追い出されることもなく、スケートに適した斜面や階段がある最高の場所なんだよ。他のスケーターと知り合いたいと思ったら、ここに来る のが一番だね。
「Shanghai Five」の記録写真には警察官が取り締まりを行っているような様子が映っていましたが、予告編では警察官がスケボーに乗っているシーンがありましたね。 中国の警察は他の街よりも厳しそうな印象を受けますが、スケーターとの関係はどのようなものなのでしょうか?
Charles Lanceplaine: ア メリカや日本と比べて、中国の警察官はスケーターに対して全然厳しくはないね。なぜなら、警察は何が都市環境に悪影響なのかを全く理解していないから。だ からこそ、逆に今はまだ自由だと言える。ただ、時々警察に通報してスケーターを追い出そうとする人はいるし、万博のせいで多少規制されるようにはなったけ れど。
今回の作品には私達の知らない上海のスケーターシーンがふんだんに盛り込まれていますが、ひとつお気に入りのシーンを教えて頂けますか?
Charles Lanceplaine: 友達がスターバックスの前の階段を滑るシーンかな。昼間は交通量が多すぎるから、朝6時に撮影する為に、前夜から皆で集まって朝が来るのを待ったんだ。それがすごくいい感じで、今でも記憶に残っているよ。
上海のスケーターシーンは今後どうなっていくと思いますか?
Charles Lanceplaine: あり得るのは二つ。一つはスケーターがどんどんやって来て国際的になるか、もう一つはアンダーグラウンドなシーンであり続けるか。ただ、問題なのは中国で は誰も次を予想できないことだ。ひょっとしたら来年には中国政府が規制を始めて、警察が街中のスケーターを取り締まるかもしれない。まぁ、そんなことは起 こらないとは思うけど。スケートボードは明らかに中国のストリートカルチャーをリードしているけれど、ストリートカルチャー自体が中国の若者にとっては新 しいから、それがどういう方向へ向かって行くのかは僕にはまだ見えない。上海までわざわざ滑りにやって来る外国人スケーターも増えたけれど、あまりにも文 化が違いすぎて彼らにとってはかなりの挑戦だろう。でも、今後出てくる新しいスケーター達がシーンをもっと引っ張って、全体のレベルを高めてくれることを 願っているよ。
日本のスケーターやあなたの作品を見る人にメッセージを。
Charles Lanceplaine: 僕の作品を見てくれる人に…アリガトウゴザイマス。上海に滑りに来ることがあれば連絡を下さい。お勧めのスポットや地元のスケーターを紹介しますよ。
「Shanghai Five」の予告編。
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Shanghai Five
90 年代のサンフランシスコ、00年代のバルセロナに続き、現在、スケートボードの新たなメッカとなり、毎日のように世界中のスケーター達が巨大な遊び場を求 めて訪れる街、上海。日本ではまだあまり知られていない上海のスケートボードシーン、カルチャー、そしてその国際的なルーツを若干23歳のCharles Lanceplaine監督が映像化。本編は年内にウェブ上で公開予定。
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