
© DAVID SYLVIAN / IMPOSSIBLE Tokyo
世界で唯一アナログインスタントフィルムのみを生産している The impossible project の東京スペースIMPOSSIBLE PROJECT SPACEにて、伝説的バンドJAPANのヴォーカル、現在もソロ活動をしている デヴィッド・シルビアン(David Sylvian) 初の写真展『glowing enigmas』が開催される。会期は、2012年4月20(金)~5月20(日)。
デヴィッド・シルビアンは、1974年から5年間の活動でカリスマ的な人気を博し、 武道館での公演も行われたポップバンド”JAPAN”や映画「戦場のメリークリスマス」の為に創られた 「Forbidden Colours」での坂本龍一とのコラボレーションで 日本での人気も高いアーティストだ。
© DAVID SYLVIAN / IMPOSSIBLE Tokyo
本展は、音楽家でありアーティストのデヴィッド・シルビアンによる撮り下ろし作品群となる。自身初の写真展により”デヴィッド・シルビアン” の新しい一歩となる筈だ。
是非足を運んで見て欲しい。
—
DAVID SYLVIAN – glowing enigmas
開催日時: 2012年4月20(Fri)~5月20(Sun)
オープニングレセプション: 4/20(Fri)19:00~21:00
※会場ではDavidによりセレクションされた楽曲を特別DJセットにて流している。
会場: IMPOSSIBLE PROJECT SPACE 東京都目黒区青葉台1-20-5 OAK BLD 2F
http://the-impossible-project.com/
—
デヴィッド・シルビアン ミュージック・シーンでの軌跡
©Samadhisound
デヴィッド・シルビアンは 、1974年にポップバンド“JAPAN”を結成 。78年、アルバム『果てしなき反抗(原題:Adolescent Sex)』でデビューしている。この年から82年解散にいたるまで(最後のツアーでは、ギタリストとして土屋昌巳が参加)、短期間ながら、カリスマ的な人気を博した。とくに、日本での人気が高く、武道館で公演を行うほどの寵児となる。JAPANは、70年代にデヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックなどが牽 引したグラムロックのアプローチや、黒人音楽への憧憬を起点としてスタートし、中心的存在 であったデヴィッドのリードで、ヨーロッパのモダンミュージックに超個人主義的思索を合体させ、背信的で憂鬱、どこか枯れたムードのエレポップを堂々完成させた。
JAPAN解散後、84年のアルバム『Brilliant Trees』で、ソロデビュー。JAPAN時代の黄金に染められた髪とメイクを剥ぎ取り、スタイリッシュで洗練された風貌で現われた、かと思うと、 2003年の『Blemish』では、みすぼらしい服装でヒゲも剃らず登場するなど、イメージに振り幅 を与え偶像化を回避し、自ら抱えるトラウマを覆い隠すことなく、新たな音楽的表現を求めて 彷徨うデヴィッドがそこにいた。 当時数多くあったニュー・ロマンティク・バンドのひとつであったJAPANの人気を不動のも のにしたのは、代表曲『GHOST』だった。エレクトリックなサウンドをリードしたのは、デヴ ィッドの美しいテノール・ボイスだ。
当時を思い出して、デヴィッドは語っている。「”GHOST“を書いたことは、僕にとってター ニングポイントとなった。JAPANは戦略に基づいて運営されていたから、この曲は、僕個人が 探し求めていた表現への突破口と感じられた。なにか本質的なものに触れた気がしたし、そう いう風に表現していくと傷つくことが少なくなることを知った。自分の生々しい感情から湧き 起こってくるものがどんどん強くなっていって、比喩的にも文字どおりにも、自分の声を見つ けることができたと思う」 ソロ活動を通し、デヴィッドは、ポップ・ファンク、スタイリッシュ・ジャズの様相をもつ 独特な音をつくりあげた。84年の『Brilliant Trees』のアンビエントな情景、ロマンティックな ストリングス・オーケストラで構成する87年の『Secrets of the Beehive』。ロバート・フリップ (キングクリムゾン)ら、プログレッシヴ・ミュージックやフュージョンのリーダーたちとの コラボレーションも行われた。
坂本龍一との継続的なコラボレーションがはじまり、『Forbidden Colours』が大ヒットしたの は91年である。 ロバート・フリップとともに敢行したツアーは、93年のスタジオ・リリース『The First Day』 と、サウンドと空間を駆使したストイックな演出によるマルチ・メディアインスタレーション 『Redemption – Approaching Silence』(東京)に結実した。その前に行われた、アンビエント なサウンドを背景に写真のコラージュを配し、ドキュメンタリーヴィデオを上映した 『Perspectives』(東京)にはじまる、アートインスタレーションの世界への飛躍である。 その後、イギリスを代表する画家、ラッセル・ミルズ(ラッセルと、ブライアン・イーノや 大竹伸朗との友好関係はよく知られている)とのコラボレーションによる、インスタレーショ ン『Ember Glance (the permanence of memory)』を発表している。
4年がかりで制作した、『Dead Bees on a Cake』を発表 (1999)。魅惑的でさまざまな要素を折 衷させたこのアルバムには、ヒットシングル 「I Surrender」が収録されている。デヴィッドを 開眼させスピリチャル・ジャーニーへの脈管をつくることになった曲である。その後まもなく、 レトロスペクティヴ『Everything and Nothing』をリリース、ジャケットに藤原新也の作品を配 し(後のアルバム『EVERYTHING and NOTHING』のカバー・フォトも藤原による)、すべての曲に新 たなアレンジを加えたこのアルバムは、日本での再評価につながった。
スピリチュアルなゴールへと向うデヴィッドの作品づくりは、自己への激しい模索と深い思 索をともない、彼に、厳しい試練を与えている。「関わる人々、聴いてくれる人々と共通のゴールを思い描きながら歩んでいる。人は誰しも哀しみを抱え、それをどう乗り越えるかで試される。そして、そのために、繰り返し思考するこ とになる。試行錯誤は、『私はそれをコントロールできたんだ』という自信を呼び込むと同時に、 多くの学びは哀しみからやってくる。『ジーザス・クライスト、どんな試練でも与えてください』、 まさにそんなふうに。」
自らの弱さに眼をそむけず対峙するという決意は、2003年のアルバム『Blemish』に色濃く表 れている。レコーディングは、ホーム・スタジオで、6週間にわたり行われた。インターネット を介して、インプロヴィゼーションのレジェンド、デレク・ベイリー(2005年クリスマス・イ ヴに逝去)、オーストリアのエレクトロニック・アーティスト、フェネスとコラボする。 この制作期間に家族とのあいだに生まれた溝は、イングリッド・シャベイズとの結婚の破局 を招くことになった。 「僕は、難解な熱情のるつぼに浸り、可能なかぎり深みにもぐりこみたかった。そのため、 仕事場にこもりきりになった。もちろん人生にはさまざまな局面があるわけだが、その中から ネガティヴな感情を抽出し全面的に押し出すことにした。複雑に巡る感情を飼いならすのはと ても大変なことだけど、突破口をみつけようとする行為にはカタルシスがある。6週間を経て、 僕は知った。自分が非常に厄介な気持ちをねじふせたことを。」
『Blemish』は、デヴィッド自身のレーベル「SamadhiSound」の出発点ともなった。 「SamadhiSoundは本当の意味で、グローバルだ。どこかに拠点をもつ必要は感じなかった。 どこに在るかということは、現代では大きな問題ではなくなっている。我々はいまや、自分の 力で、自身のカルチャーをかなりのレベルまで引き上げることができると思う。なにを聴き、 なにを見て、なにを読むか。文化的な環境を自分のまわりにつくりあげるのにたいした努力は 必要とされなくなってきている。」 SamadhiSoundでは、スィート・ビリー・ピリグラム, ハロルド・バッド、トマス・フェイナ ーらの、世界中のアーティストをフィーチャーしている。
『Blemish』のリミックス・ヴァージョン『The Only Daughter』をリリース(2004)(デヴィッ ドには、イングリッドとの間に二人の娘がいる)。 2005年、実弟であり永年のコラボレータでもあるスティーヴ・ジャンセン(JAPANの結成メン バーでもある)と結成したNine Horsesというバンドには、ピアニストとして坂本龍一も参加した。 魅惑と品格に裏打ちされたこのプロジェクトが、トリップホップと一線を画したのは、個人的 なできごとと地球への憂慮の両方からインスパイヤーされた、シリアスな詩のためだろう。 坂本とフィーチャーしたシングル 『World Citizen』は、ブラッド・ピッドや菊地凛子が出演 して話題になった映画『Babel』(2006)のサウンドトラックとなる。 ポスト9.11を経たアメリ カに暮らし、国際的な活動をするアーティストの一人として、ひとりの市民が感受する、当然 の畏怖感を飾りなく表現したものだ。
2009年、『Manafon』をリリース。世界のトップ・インプロヴィゼーション・アーティストた ちがつどった。アンサンブルを組んだ彼らは、まず核心を共有し、背景をつくりあげていった。 それは、インプロヴィゼーションとコンポジションの。アンサンブルとリード・ヴォーカルの。 親密さと孤独の。境界を深く掘り下げようとする作業でもあった。デヴィッドの詩は驚くほど 美しかった。このアルバムは、これまでの彼の仕事の中でも五本の指に数えてよいだろう。2010 年、これまでのコラボレーションワーク16曲を収めたアルバム『Sleepwalkers』を発表。 最後に近況に触れる。2012年2月、コンピュレーション・アルバム『A Victim of Stars 1981-2012』 リリース。4月に予定されていたヨーロッパ・ツアーは、体調不良のため延期(希望的観測によれ ば、本年秋頃に)が発表された。あまり見る機会のない、デヴィッドの写真作品12点によって構 成される2012年カレンダー『IMPLAUSIBLE BEAUTY』(アートディレクション:デヴィッド・シル ヴィアン/クリス・ビッグ SamadhiSound刊)を、本展会場にて販売予定[価格未定])。これまでの全 歌詞をおさめた lyrics book を準備中。
—









































