Creative Conference HIGH5 3 Report

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2010年1月23日(土)に私たちHITSPAPERが企画・運営するクリエイティブ・カンファレンス「HIGH5 3」を開催いたしました。

今回で3回目となる同イベントは、天候にも恵まれ、緩やかな空気を纏った横浜港の大さん橋ホールで静かに幕を明けました。大さん橋ホールは東京にはない、大きな磁場を持っており、会場内もゆるやかでありながら、緊張感が漂う独特の空気を纏い、テーマである「ガラパゴス」を掘り下げるには、空間に絶好の磁気を帯びていたように感じます。

今回、私たちが掲げたテーマは先程述べた「ガラパゴス」。
独自の進化を遂げたクリエーター、ガラパゴスの住人を各ジャンルから招待し、それぞれの成長のプロセス・フィロソフィーをプレゼンテーションしてもらいました。
おそらく、HIGH5第一回目から数えて、最もテーマに沿った、且つ全体構成としてストーリー性を持ったイベントになったと思います。

開場はAM10:30。

土曜日で都心から少し離れている事もあり、開場にはまだ空席が目立ちましたが、遠方からのお客さまの為にも(最も遠方は山口県から)、イベント終了時刻を変更出来ずスタートしました。
オープニングムービーは、今年のキービジュアルあるガラパゴスアニマルを浮遊というテーマで、新進若手デザインスタジオ「tymote」に制作してもらいました。


Opneing Movie by tymote







Speaker 01 SHIMURABROS.

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Photo by Hikaru Matsumoto


一組目のスピーカーは映像作家の姉弟ユニット「SHIMURABROS.」が登場。
お二人には、昨年からお世話になっており、初めてお会いしたのが、元刑務所という恐ろしい磁場を放電している場所。恐ろしくインテリジェンスであり、呆れるほどユニークな発想で、新しい映像装置をテクノロジーの力を駆使して創り上げています。

過去に葬りさられた生物、物体をX-RAYを使用し、現代に映像として呼び起こし、子供から大人まで触れ合うことを体験させる「X-RAY Train」。
現代の人間・家族間にある触れ合いというテーマを浮き彫りにした「Sekilala」。

映像とは何か?映像装置とは?
その映像装置や映像コンテンツ自体と向き合うことで人間のリアクト・問題を炙りだしていく手法は、メディアアートでも全く異種のものとして写ります。

姉弟のアイパッチは、緊張しない為との事ですが、薄暗い空間の中で、白く輝きを放っていました。

構成側として、好奇心が赴くまま映像に向き合う「SHIMURABROS.」さんは、プレゼンテーションという形式より、ワークショップなど、対話が成り立つ空間だと更に、彼らのクリエイティブ性が伝わったのではないかと考えています。


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Photo by Hikaru Matsumoto





Speaker 02 志賀理絵子

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Photo by Hikaru Matsumoto


2組目のスピーカーは写真家の志賀理絵子さん。

彼女の多くの写真に人の脳内に浸食する力があるとしたら、彼女の言葉は無数の触手であり、聞き手の全身の毛細血管まで深く入り込んでくるかのよう、また会場が志賀ワールド取り込まれたような、そんな強烈な磁場を放っていました。

プレゼンテーションは、彼女の生い立ちから、何故写真を撮り始めたのか?様々な場所に招待され、フィールドワークを行いながら、地元の人・文化にするりと入り込みストーリーを創っていく方法や、カナリアという作品の生まれたプロセス、新作書籍の炙り出すかのような言葉との対峙などをお話して戴きました。

特に、現存の撮影技術の文法を根本から考察し、記録媒体として写真の性質をあえてはぎ取り、裸にする検証方法など、写真の在り方を存分に考えさせるセッションでした。

総じて、感じたことは、写真という表現媒体への固執と言うまでの、彼女の情熱です。
写真とは。写真という表現とは、写真という物質とは、写真という概念とは。

デジタルカメラの普及によって写真が画一的な記録装置となった今、写真という存在を様々な角度から、体当たりで掘り下げていく姿は、破壊・解体、再構築と自身のフィードバックを通じて、自らの存在意義も炙りだしているかのようでした。

今後、彼女の独自の哲学性は、益々美しい輝きを放っていくだろうと感じます。


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Speaker 03 Klein Dytham architecture

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Photo by Hikaru Matsumoto


3組目のスピーカーはKlein Dytham architecture。
Mark Dythamは、当日朝にベイビーが生まれ為、欠席しましたが、Kleinが素晴らしいスピーチをして下さいました。

来日して20数年経過する彼らですが、その視点は私たち日本人にとっては、非常に新鮮なもの。
私たちが認識していない日本で有り触れたデザインが実はガラパゴス状態にあり、異彩を放っている。
また、建築家という見地から見たガラパゴスは非常に私たちの生活に密接に関わっており、興味深い内容でした。

彼女のプレゼンテーションは、実際の建築、鎌倉のウェブプロダクション「カヤック」さんの事務所の設計やAlpha Tomamu Towerのプロセスなど楽しさをデザインするというフィロソフィーやそれをいかに生活に浸透させるかというお話をして戴きました。

また、彼らが主催するペチャクチャナイトの紹介からそのグローバルに広がるプロセスなど、そのオープネスな考え方が根底になる事を伝えてもらいました。

「生活を楽しく」「生きることを楽しく」というモットーが彼女の姿勢から感じられ、作品にも顕われるような、パワフルなアウラを纏ったプレゼンテーションでした。

最後に建築は、時に社会問題として表象されますが、最も見近な詩的な創造物であり、崇高な思想に到達しようとする存在だと思います。
建築は所有という概念でも大きく関わり合うものですが、こうした無意識下の階級社会の問題など改めて考えされました。


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Adobe Session

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Photo by Hikaru Matsumoto


まだ、正式リリース前なので、詳細は書けないのですが、
FLASH CS5の情報を先取りで今回のスポンサーであるADOBEさんにプレゼンテーションして戴きました。
新しい機能が追加されたり、より簡素化されたり、記事に出来ないのが残念ですが、次のCS5期待が高まります。
近日、詳細が明かされると思うので楽しみにお待ち下さい。


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Speaker 04 LAB Rockwellgroup

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Photo by Hikaru Matsumoto


4組目はN.Y.からインタラクション・デザインチーム「LAB Rockwellgroup」が登場。JoshuaとJamesが登壇してくれました。

LAB Rockwellgroupのプレゼンテーションは、彼ら自身のチームの成り立ちからスタートし、彼らのフィロソフィーや、その風呂敷の上に各々全く異なるバックボーンを持ったクリエーターが集まる事で、
多種多様なクリエーションを形成している事、周りにいる多くのクリエイティブ・スタジオを連動して、
建物・空間・インテリア・グラフィックなどトータルプロデュースしていることをプレゼンテーションしてもらいました。

彼らのチームのように、様々なバックボーンの人間が、相互に関係し、連動するシステムがまさに今回のテーマ「ガラパゴス」の中で、伝えたかった事柄の一つです。
こうしたコミューンに似た体系は、コミュニス(cmmunis)「共に(com)する 贈り物(munus)」というフィロソフィーが流れています。

また、彼らがそうした体系デザインを建築という骨組みの設計、生活空間をデザインする事、そこにどう人が関わり合うかを設計する事で学んだこと示唆してくれています。

蛇足ですが、後日、twitterでつぶやきを確認したらあご髭が話題になっていたようです。
本人に聞いたらJamesは1年間、Joshuaは半年間伸ばし続けていたとか。


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Speaker 05 長浜徹

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Photo by Hikaru Matsumoto


5組目のスピーカーはロンドンのクリエイティブ・スタジオ「Hi-Res!」に所属しながら、アーティスト活動を行う長浜 徹さんが登壇。

長浜さんはロンドン在住という事もあり、2年間程メールのみでお互いの近況を報告していたのですが、この機会にお会いして、直に話をして見たかったアーティストさん。
素朴で実直な彼が創り出す世界観は、免れない破壊の波を救い、形として留めるそんな力が存在しています。

プレゼンテーションでは、RCAで一緒に学んだ素晴しい人たちの素晴しい作品、影響を受けた人の紹介。
Le gunから受けたイラストレーションと写真の自由の領域性の違い、Alex Bettlerと一諸に行ったワークショップ。
Hi-res!の成り立ちやフィロソフィー、偶然性から生まれる産物をどのように捉え、咀嚼するか?
特にHi-res!のフィロソフィーを物語っていて、興味深かったのが、会社内のインターネットが1週間停止したときに自発的に作成したThe Internet。
ウェブを中心にしたスタジオにとって、インターネットに接続できない危機状況の中、遊び心を忘れず、ローカル上で各スタッフが入れ替わり、簡易の思いつきウェブサイトを数分毎に更新してインターネットに変わる情報網を制作していく。
社会に対するアイロニーや反骨精神・チャレンジ精神が詰まった、人間らしいスタジオである事が伝わったと思います。

最後に、長浜さんのパーソナルなお仕事のお話。

日常を切り取って一度解体し、再構築(レイアウト)する編集が見事なアートワークが、スクリーンに次々、浮かび上がり、まさに作品を媒介にしてマインドウェーブが起こるかのようでした。
長浜さんの日常・思考が波として、鑑賞者と一体化していました。

プレゼン中にも出た、「日常をサバイブする」という彼の姿勢は、フィジカル的な変革ではなく、つまりはマインド変革であるように思います。例えば、彼の言葉を借りるとすれば、移動距離が激しく、疲労が溜まって来た際に「自らを荷物だと思えば良い」という言葉が象徴しています。
そのマインド革命をデザイン・クリエイティブの力を借りて、日常から掻き集めアウラを纏わせる事で、他者、ひいては自者も俯瞰する。
彼の言葉・作品は、社会の劇的な変容から自らとその周りを癒す精髄を顕にしているように思います。

日常という空間の中で、あらゆる対象物を私達は感じていますが、その関係性は、自らのマインドによって、自由にも不自由にも成り得ます。

意識は、自分を更なる檻に閉じ込める事も可能ですし、自己の下にコントロールできれば、その思索を第三者にも伝える事ができる。
長浜さんのプレゼンテーションからそんな事を気づかされたように思います。


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Speaker 06 伊藤直樹 (W+K tokyo)

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Photo by Hikaru Matsumoto


6組目のスピーカーは、昨年、W+K tokyoの代表に就任したクリエイティブ・ディレクターの伊藤直樹さんが登壇。

今回、一部スピーカーのキャンセルの為、急遽の参戦をお願いしましたが、以前から、伊藤さんには出演をして戴きたかった方です。

広告・クリエイティブディレクターというポジションでお話をして下さったのですが、比類なき愛情を広告に注がれている事がひしひしと伝わってきました。
仕事を愛すると、仕事からも愛される、相思相愛なパートナーのように。
そして、その周りには、多くの人間が渦を巻いて、コミニティ・ファミリーを形成していく、そんな小さなコミューンが、既に伊藤さんから感じられました。

プレゼンテーションは、まず広告は基本的には「嫌がられている」言い換えれば多くのゴミのようだという出だしからスタート。
それを受けいれる為に必要な事は、「良心」と「カタルシス」。それは、広告を見ることで謙虚に幸福を伝えること、浄化されることという事。
人の心が広告のバックボーンに存在するという事がひしひしと伝わってきました。

また、印象的な言葉として響いたのは「広告は転校生のようなもの」という言葉。
伊藤さんもW+Kという日本の中では、ガラパゴス的な広告代理店に転校した事で、そのコミニティへの浸透の仕方などと合わせて、そのプロセスの重要性をお話してしてくれました。

また、Nike Tasuki Twitterの事例のように、デジタルな反応に対するフィジカルなリアクトという発想が非常に興味深い内容でした。
箱根駅伝の各大学を応援するtwitterプラットフォームを制作し、つぶやいた応援メッセージを別室にあるミシンをハッキングしてタスキに刺繍をしていくプロジェクトは、デジタルからフィジカルの連動性を全く新しい形で表現した作品でした。

最後に今回のテーマ ガラパゴスの真髄に迫る内容をプレゼンして戴きました。

それは、「今まで日の目を見なかったもの・人に光を当てる」という事です。
クリエイティブディレクターという職業にスポットを当てる事、ガラパゴスとよばれる個人・コミニティがクロスして、新しい光を感受し、また、私達の生を外的状況に閉ざされた閉域から、生への変容へシフトする事で、新たなガラパゴスが繋がっていくこと。

実はプレゼンが終わってから気が付いたのですが、伊藤さんのプレゼンは、関わる人間全員にハッピーの種を蒔いていたように感じます。
それは、来場したお客さん、主催者側、W+K Tokyo、そして日本のクリエイティブの未来まで、すべての領域を把握して、それぞれにメッセージを送っていたと思います。
クライアント・ユーザー・パートナー・スタッフ・日本(世界の)すべての関わる人に向けて、関係性・メッセージを伝える。
これは、仕事をする上で、俯瞰した場合、とても大切な思想ですね。
こうした視点はと誰に対しても変わらぬ謙虚な姿勢は、人としても非常に熟練している事を物語っていました。


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HITSPAPERから

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Photo by Hikaru Matsumoto


最後にHITSPAPERから皆さんに。

まず今回、様々な関係性の元で、関わって下さった皆様に感謝を申し上げます。
ご来場して下さった皆さん、予定があって来られなかった皆さん、スピーカーの皆さん、スポンサーさん、会場施設のみなさん、ボランティアスタッフの皆さん本当にありがとうございました。

今回のテーマ「ガラパゴス」は、今、日本でカルチャーの崩壊憂き目を感じ、また、画一的なクリエーションに危機感を覚え、世界でも有数な独自の進化を遂げた場所「ガラパゴス」を現在のクリエイティブ業界に準えました。
各々のジャンルでガラパゴスの住人として、クリエーターを招待し、それぞれの仕事のプロセスやフィロソフィーを語ってもらいました。
私達は、ゼロ年代は、デバイスやテクノロジーによって多くのインフラが整い出したと同時に、私達のマインドがよりオープンになり、混じり合い、次の新しいクリエーションが生まれる土壌が整った時代だと思っています。

これからの10年は、各ジャンルのガラパゴス化した人間・コミニティが混じり合って、新しい人類、新しいマインド、そして新しいクリエーションが産み出される時代だと感じています。
そして、間違いなくそれは、私達が次の世代に残し、伝えていなければならない宿命だと思います。
日本という国を憂うのではなく、共生することで可能性を追求していくべきだと感じています。




私達HITSPAPERという媒体の活動とクリエイティブ・カンファレンスHIGH5についても少しだけ。

クリエイティブ・カンファレンス HIGH5

今、世界でもカンファレンスという形式だけとっても多くのイベントが開催されています。
その多くは、テーマに対する掘り下げる力ではなく、人集めの為、有名なアーティスト・クリエーターを招聘させることが優先されている事が実体です。
今回、私達はその概念のアンチテーゼとしてイベント内でのストーリー性とテーマ性の追求を主として構成を考えました。
プロモーションの方法やストーリー性の伝え方などあまり巧く表現する事が出来ず、その点は多いに反省すべき点だったと考えています。
正直にご報告すると、今回のHIGH5 3は、収支的にはマイナスとなってしまったのですが、私達スタッフは多くの事を学びました。
この学習成果は、関わる人間すべてに幸福が齎されるようなシステム構築を含め、様々なプロジェクトを通じて成長の証をお見せできればと考えています。
また、HIGH5が開催される事になりましたら、その成長の証をどうぞ見て戴ければ幸いです。



クリエイティブ・ポータルサイト HITSPAPER

私達HITSPAPERは、正直なメディアとして、世界中のクリエーターから愛される媒体を目指していきたいと思います。
白は白、黒は黒と言えるようなジャーナリズムを目指します。
それは、クリエイティブなテクニックや情報だけではなく、それを媒介に、関わるすべての人間が幸福になる体系デザインや人間の思想・マインド変革と言い換える事が出来るかもしれません。
また、私達が発信する情報やプロジェクトには、必ずこうしたフィロソフィーが隠れています。
ストレートに出す場合や、巧みに隠しているかもしれませんが、必ず、根底にこうした憶いが存在しています。
HITSPAPERを発足させた当時、HITSPAPERは私達の媒体として捉えていましたが、
すでにHITSPAPERは其処から手を離れ多くの皆さんの手に渡ろうとしているのかもしれません。

まだ、多くの変革が必要ですが、皆さんの心に刻まれるようなそんな媒体を目指して少しずつ成長していきたいと思います。
今後共どうぞ暖かく、そして積極的にHITSPAPERにご参加して戴ければ幸いです。

HITSPAPER スタッフ一同



※もし宜しければ、HIGH5への感想、HITSPAPERに今後求めることなどtwitterやmailなどで戴ければ嬉しいです。どうぞ宜しくお願いいたします。












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